新しい時代の幕開け?

「平成」が終わり、新たに「令和」と言う時代が始まりました。我が国は今まさに“令和フィーバー”とでも言うべき状態で国中が浮かれたっているように見えます。あの昭和の太平洋戦争時代を経験し、平成を生きてきた私にはこれが、異常に見えて仕方がないのです。今や世界では珍しい「元号」を用いる我が国は、希少価値がある国かも知れませんが、私は何か大事なことを忘れはいないか、気になって仕方がありません。

私は改めて今世紀初頭に出版されたサミュエル・ハンチントンの「文明の衝突と21世紀の日本」と言う著書を読み返しながら、彼の慧眼に感服することしきりです。今日の混沌とした世界情勢を見通し、「21世紀の世界は、数多くの文明間の違いに起因する分断された世界になるだろう」と述べているのです。ここで多くを語ることはできませんが、彼は現代の主要な文明は、中華文明、イスラム文明、ヒンドゥー文明、西欧文明、ラテンアメリカ文明等いくつかに分類されますが、日本だけはそのいずれにも属すことなく「日本文明」という固有の文明として位置付けているのです。この“令和フィーバー”に浮き立っている様子を見るにつけ、彼の分析は的確だったと思うとともに、今や世界有数の経済大国となった我が国のこれからの歩み方にも大きな課題が残されているように感じます。それは他国と比較したり真似たりできない独自の路線を求められるからでもあります。

ハンチントンは文明と宗教の結びつきについても言及していますが、それは、これから続く分析の大切なキーポイントになるのではないかと思われます。しかし日本の問題を考えるときに、丸山真夫の「タコつぼ文化」と言われる我が国独特の文化が存在することは否定できません。キリスト教的な土台があって発展してきた西欧の学問や技術を、そうした土壌のないままに取り入れてしまった日本という国が、日本人たちのものの考え方に、どれほどの影響を及ぼすことになったのか、かなり複雑な様相を呈していると思います。そして、

ハンチントンは触れていないのですが日本独特の神道や国民の宗教観なども分析を難しくしていると思います。そしてそれは、皇室問題とも切り離して考えられない重要な課題になってくると思われます。

長い間覇権をにぎり世界を支配してきた超大国アメリカも孤立しつつあります。世界的視野でものを考えることが殆んどできてなかった我が国が、これから果たしてどのような役割を担いうるのか大きな課題を背負った新しい時代への出発です。                                                                       <S・M>

 

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