人その友のために己の生命を棄つる、之より大なる愛はなし。　　　　（ヨハネ福音書15；13）

先日、ウクライナと戦争をしているロシアのプーチン大統領がクリミヤ併合８周年記念集会で１０万人余の群衆を前に演説をしたそうですが、その中にこの聖書の言葉が引用されていたことに慄然としました。これはこの戦を正当化し、犠牲になった兵士たちの死を美化・賛美し、さらには若者たちを戦争へ駆り立てる非常に危険な使い方であり、かつ聖書の言葉の大きな誤用であります。

　このキリストの言葉はご自身が十字架に着く直前に語られた言葉であって、その人類への最大の愛の姿を、ゴルゴダの丘の十字架の上で示されたのです。聖書が語る「罪」とは法令等に背く種々の犯罪行為や道徳的な不行跡などを指すものではありません。人類の創造主なる「神」の思いに反する行為により、神との正しい関係が損なわれている状態を意味するのです。その神との正しい関係の回復のために、キリストがその生命を投げ出されて十字架の刑を敢えてお受けになったのです。その十字架からあふれ流れるキリストの愛は、罪深い私たち人間を包み込み、敵意や怒り、恐れや悲しみを根こそぎ流し去ってくださるのです。今こそ真のキリストの愛に触れるべき時だと思います。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（SM生）