筆子その愛(滝乃川学園物語)

・このたび私どもの神召教会で映画(DVD)上映会を開催することにしました。その映画は「筆子その愛」というタイトルで、「石井十次」や「賀川豊彦」など日本社会福祉事業の先駆者たちを描いて、多くの感銘を与えてくれた山田火砂子監督の「現代ぷろだくしょん」が製作したものです。この映画も、我が国最初の障害児教育・福祉施設である「滝乃川学園」の創立者石井亮一氏の夫人筆子さんの生涯を描いた感動的な物語です。
・その「滝乃川学園」は、実は私たちの神召キリスト教会の所在する東京都北区滝野川を発祥の地とする施設で、国立市に移転されてからも「滝乃川学園」の名称を守り続けておられるので、私は親近感を覚えているのです。そしてその果たされた偉大な功績を覚えるとともに、深い敬愛の念をもって見て来ました。この施設は、石井亮一氏が所属した聖公会の信仰によってたてられた「聖三一弧女学院」をルーツとするものです。最初は引き取った孤児たちの教育に情熱を込め、読み・書き・計算等を教えていたのですが、その中にその単純なことすらできない子どもがいることに気が付いたのです。その当時は、そのような子どもを今では差別用語として絶対に使用していない「白痴」と呼び、教育の対象外として扱われていたのですが、石井亮一は彼らへの教育の必要性を強く感じ、わざわざ単身アメリカにわたって教育法を学び、彼らの学園での実践に活かしていったのです。一人の小さい存在にも目を向け、差別することなく等しく愛情を注いでいった彼らの教育姿勢は、まさにキリスト教の愛の精神に根差した献身的な働きでした。すべての人を差別することなく、等しく神の愛の対象としてとらえ、受け入れたのです。これこそキリストが「これらの最も小さい者のひとりにしたのは、すなわち私にしたのである」(マタイ福音書25;40)と言われた言葉を実践に移した姿勢だと思います。
・そしてその献身的な姿勢がおそらく多くの方々の感動を呼び起こしたのだと思います。実に多数の各界の有名な方々がここを訪れておられます。特に皇室の方々には大変深いご関心を持たれたようです。秩父宮ご夫妻、高松宮ご夫妻、貞明皇后、常陸宮ご夫妻等相次いで来園され、1992年の創立100周年記念式典には天皇・皇后のご臨席を受けて挙行されたと報じられています。
・そのような多くの方々の関心を集め賞賛されたこの働きが映画化され、私たちが目にすることができるのは嬉しいことです。皆様にご期待を持ってご覧いただければと思います。ただ、いささか残念なことは、この映画で筆子の父親役で出演していた名優加藤剛氏が先月亡くなられていたという報道があったことです。
皆様、どうぞご鑑賞くださいますようお待ちしております。
(S・M)

カテゴリー: 未分類 |