我々には夢がある(We have a dream)

・昨年秋、オランダを旅行した時のことです。アムステルダムの中心、新教会の前に差し掛かった時、教会の入り口や壁に大きなポスターが掲げられているのを発見しました。そのタイトルが「We have a dream」であり、そこには見慣れた3人の肖像が描かれていました。一番左にインドの聖人といわれるガンジー、真ん中にマルチン・ルーサー・キング牧師、一番右に南アフリカのネルソン・マンデラ。そしてこのタイトルとなった「We have a dream」は、M・L キング牧師のあの有名な演説の一節からとった言葉だということはすぐわかりました。それぞれ、時代・場所は異なるものの、抑圧された彼らが最後まで非暴力を貫き、民族の尊厳を保ったことはよく知られています。今この時代に、この世界で最も必要とされている我々人類の生き方を身をもって示してくれた素晴らしい先輩たちです。

・私は昨今の極めて残念な世界の情勢を見るにつけ、改めてこの三人の偉業に深い尊敬の念を抱くものです。国と国、民族と民族、宗教と宗教そして足元のコミュニティに至るまで全般的にトゲトゲした厳しい対立の構図が目立っている姿を見せつけられ、非常に不安の念に襲われます。そこには話し合いで物事を解決するのではなく、力で相手を強引にねじ伏せようとする対立の姿ばかりが目につくのです。なぜそのような権力者が増えてしまったのかわかりませんが、まさに一触即発の可能性が濃厚になってきたのは事実だと思います。力に対して力で対応するのは、非常に手っ取り早い手段だとは思いますが、それは真の解決には決して導かないということは誰もが分かっていることだと思います。その場限りの極めて無責任な行動でしかありません。

・しかし、現実には世界レベルの話だけでなく、身近なコミュニティの場でもいろいろな対立が存在し、混乱を極めることが多いのは事実です。それぞれの育った環境や教育などによって考え方が異なるのはもとより、民族・人種、宗教・信条などの違いによって差別することは絶対にあってはならないことだと思います。しかし残念ながらこれらの先輩たちのせっかくの取り組みも、いまだ道半ばというところです。世界中至る所で差別が行われ、いまだに多くの方々が虐げられているのは認めざるを得ない残念な事実です。

・私は今あのキング牧師の演説の最後の言葉を思い出し、再度心に銘記したいと思います。「すべての村とすべての集落から、すべての州とすべての街から、私たちが自由の鐘を打ち鳴らすとき、その日が来るのが近づくのです。われわれは神の子すべてが、黒人も白人も、ユダヤ教徒もユダヤ教徒以外も、プロテスタントもカトリック教徒も、共に手をとり合って、なつかしい黒人霊歌を歌うことのできる日の到来を早めることができるだろう。」                            (S・M)

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