現代のオアシスとは(1)

・激動の21世紀社会に生きる我々現代人にとってのオアシスとは何でしょうか。昨年の東日本大震災は我々日本人に対していろいろなことを反省するよう迫るものであったと思います。ある人は「天罰」などと言いましたが,私はこれを神の「警告」と受けとめなければならないのではないかと思います。第二次世界大戦で多くのものを失い,どん底に陥っていた我が国が,世界で第二の経済大国にまで成長するというめざましい発展を遂げたことは20世紀の奇跡の一つと言っても良い出来事でした。最近中国に追い抜かれ第三位になったとは言え、資源小国の日本がここまで上り詰め、GNP世界第二位を永年にわたって維持してきたことは大変なことだったと思います。しかしそれと引き替えに何か大事なことをどこかに忘れ去ってしまったのではないでしょうか。

・先日、ある講演会で聖路加国際病院の日野原重明先生が「震災後の今の日本人について一番よく理解しているのは,昨秋来日されたブータン国王である」と仰った言葉は印象的でした。GNPならぬGNH(国民総福祉量)を重視した国民生活に、非常に貧しい国であるにもかかわらず、国民の殆どが現在の生活に幸福を感じ取っている姿に学ぶべきものがあるのではないかと言うことでした。実に示唆に富むお話しでした。

・いつの間にか染みついてしまった経済優先の考え方が,教育をはじめ社会生活の随所に支配的になり,人間として一番大切なことを省みない風潮が広まってきました。本当に憂慮すべき事態だと思います。いまこそ人間としての生き方に何が大切か反省すべき大事な時期に来ているのではないでしょうか。「人の生くるはパンののみによるにあらず」と言われたキリストの言葉は,今我々が真っ正面から受けとめ、真剣に考えなければならないことではないでしょうか。多忙の日々の中かもしれませんが、ひとときでも静かにこれらのことを思い巡らす時間を取れるようになれたら幸いです。そのような心のオアシスをお一人一人がぜひ確保して頂けるように願っています。

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