パクス・ヤポニカ(日本の平和)

・戦後70周年にあたり考えておかなけらばならないことが沢山あると思います。その中で最も忘れてはならないことはこの70年間は、世界の中でも珍しい平和な時期を日本は味わってきたと言うことです。日本の歴史をさかのぼれば、島国としての地理的特徴のお蔭もあると思いますが長期にわたり平和の状態が続いた時期が二度もありました。それは平安時代の350年と江戸時代の250年です。これはまさにパクス・ロマーナやパクス・ブリタニカ、近くではパクス・アメリカーナ呼ばれる歴史上の比較的長く平和が続いた時代に比肩しうるものだと思います。私はこれを「パクス・ヤポニカ」(ラテン語で「日本の平和」)と呼んでも良いと思います。そして、さらにこの戦後70年も「パクス・ヤポニカ」と呼べると思います。
peace・それではこの期間に日本は一体どんな平和への努力をしたというのでしょうか。実は何もしてこなかったのではないかと思います。平和憲法と呼ばれる「日本国憲法」の定め、特にその第9条の規定によりこの70年間いかなる戦争に参加することが全くありませんでした。そのことが中東紛争のさなかでも、日本は欧米諸国とは一線を画して平和主義国家として受け入れられることになったのです。まさに日本国憲法第9条のお蔭で日本は混乱した20世紀後半の世界で平和を保つことができたのだと言えるでしょう。また未曾有の経済成長を遂げることができたのもまさにそのお蔭だと言ってよいと思います。この期間、ただ平和憲法を守ることに懸命になっていたということだと思います。
・しかし、今ここへきてその軸となってきた日本国憲法を巡る話題がかまびすしくなってきました。この憲法を改正する手続きを踏まないままに、集団的自衛権を認めると言う決定がなされ、憲法解釈を大幅に変更して多くの学者が「違憲」であるという法整備に踏みこもうとしているのです。まさに立憲主義に反する逆の措置を講じようとしているのです。いよいよ長い間続いてきた「平和」が脅かされる時代になってきたのです。キリストは「剣をとる者はみな剣で滅びる」と言われました。
・さらに聖書は「悪を避けて善を行い、平和を求めてこれを追え」(Ⅰペテロ3:11)と語っています。平和とは本来待っていて到来するものではありません。この70年間はまさに稀有な時代だったのです。今こそ、平和を追及する努力に励まなければならない時だと思います。聖書に「平和の君」として描かれているキリストは、ご自身の生命を捨てるという大きな犠牲を払われて平和を実現してくださいました。このキリストの行為の原動力になった大きな人類への愛に学ばなければならないと深く教えられます。平和への努力、それはキリストの人類に対する限りない愛を追い求めることにつながるのではないでしょうか。
<S・M>

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