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『生長する種とからし種のたとえから』

説教:髙橋正人師
聖書箇所 マルコ4:26-34

はじめに

本日の聖書箇所から、「生長する種」と「からし種」のたとえから神の国について見てまいります。

Ⅰ.神の国は私たちの中にある

主イエスはこれまで、4つのたとえをもって神の国について語られました。それぞれ、「種を蒔く人」、「明かりと秤」、「生長する種」、そして「からし種」です(マルコ4:3-32)。

主が語られたたとえ話から、神の国とは、天国のことだけではなく、神の臨在とそのご支配でもあることが分かります。主イエスが人となってこの世に来てくださったことで、神の国が実現したのです。主は「神の国はあなたがたのただ中にあるのです。」(ルカ17:21)と言われています。

Ⅱ.生長する種のたとえから

主は、神の国を、ある人が地に蒔いた種が生長するというたとえをもって語りました。蒔かれた種は、蒔いた人が知らないうちに芽を出して生長し、「地はひとりでに実をならせる」というのです。

これは、神の国は、種が芽を出し、苗、穂、次に多くの実が穂になり、収穫という過程を通って生長するが、確実に生長するということ。また、御言葉を信じて受け入れた人が、良い地に蒔かれた種のように、「三十倍、六十倍、百倍の実を結ぶ」ということを教えています。種である御言葉には、確かな実りをもたらす力があります。神の言葉を素直に信仰をもって受け入れるなら、私たちは豊かな実りを受けるのです。

Ⅲ.からし種のたとえから

主は四番目に、からし種のたとえを語られます。からし種は、吹けば飛んでしまうような小さいものですが、蒔かれて生長するとどんな野菜よりも大きくなり、大きな枝の陰に空の鳥が巣を作れるほどになると言われます。神の国、神の支配は、初めは小さくて人の目には全く見えなくても、やがて大きく生長して人々に知られるようになるのです。

この世の罪に支配されているように見える現実の中で、主の救いの支配は弱く非常に些細なことにしか見えないことがあるでしょう。しかし、すでに始まっている神の国の支配は、この世の現実の中でこそ、御言葉を通して神の存在の偉大な力を現して下さるのです(ローマ1:20)。ですから、私たちは、見えるものにではなく、見えない主イエスにこそ望みを抱いて信仰生活を歩むことができるのです(Ⅱコリント4:16)。

おわりに

主は神の国のことを、蒔かれた種のたとえをもって語られました。種とは神の御言葉のことです。御言葉に力があるので、聞いて受け入れた者の内に生長して豊かな実を結びます。神の御言葉を信仰によって受けとめる者に、その御言葉が豊かな実を結ばせてくださるのです。

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