『天に宝を蓄えなさい』
はじめに
本日は、天に宝を蓄える幸いについてみます。
Ⅰ．天に宝を蓄える幸い
ここから、山上の説教は後半になります。その最初で、主は「自分のために、天に宝を蓄えなさい」と教えています（マタイ6：20）。「宝」とは、富とも言い換えることが出来る言葉で、人が生きていくために拠り所としているもの、あるいは人生の支えとして大切にしているもので、だれでも持っている有形無形の大切なもののことです。
主は、宝を天に、すなわち神に対して蓄えるべきことを教えています。地上の宝は、永遠に残るものではなく、いつかは消えてなくなってしまいます（マタイ6：19）。天に蓄える宝は、決して減ったり消えてなくなってしまうものではありません。主は、この地上のことに心を配る以上に、天に心を向け、主と共に生きる幸いを教えています。主は、私たちを選んでくださいました。それは、その人でなければ結べない、いつまでも残る実を結ばせるためであることを覚えましょう（ヨハネ15：16）。
Ⅱ．宝のあるところに心もある
主は「あなたの宝のあるところ、そこにあなたの心もあるのです」（マタイ6：21）と語られます。あなたの宝があるところ、すなわちあなたが心を向けている大切なものは天なのか、それとも地上なのかという問いかけです。
天の御国の民とされた私たちも、地上のことについて決して無関係に生きられるわけでありません。しかし、神はこの地上での歩みにおいて、私たちを導き、様々なことを通して神の民であることを堅くしてくださるのです。主の救いを頂いた私たちは、神が共に居られることを覚え、やがて天の御国に迎え入れられることを望みとして今のこの時を、精一杯歩み続けましょう。旧約聖書の聖徒たちが、天の御国を自分たちの「宝」のある所として、その「天の故郷」を目指して、この地上では旅人のようであり寄留者のようにして歩みました（ヘブル11：13－16）。私たちも旧約の聖徒たちに倣って、天の御国が与えられることを約束された者として信仰生活を歩み続けようではありませんか。
Ⅲ．唯一の主イエスに仕える幸い
主は「あなたがたは神と富とに仕えることはできません」（マタイ6：24）と語られました。主イエスを信じて歩む者は、神と地上の宝との両方に仕えることはできないということを教えています。
私たちクリスチャンの宝とは、イエス・キリストです。主は私たち罪人のために、身代わりとなって十字架で死んで下さり、三日目に復活されました。主イエスを信じる者はだれでも救われます。また、主は父なる神と私たちの仲介者となってくださったことで、私たちは父なる神との平和を頂きました（エペソ2：14）。キリストこそが、「すべてのものをすべてのもので満たすお方」であり（エペソ1：23）、私たちの宝なのです。この宝である主イエスから目を離さないで、さらに主に仕える幸いに生きる者とさせて頂きましょう。
おわりに
主イエスは、「あなたの宝のあるところ、そこにあなたの心もあるのです」と言われました。私たちの宝は、主イエス・キリストです。このキリストこそ、あらゆる善きものの源です。私たちの心を主に置き、主に仕えて行く幸いに生き続けましょう。
