『散らされた人々は』
はじめに
主は、人の目には良いとは思えないようなことでも、益としてくださるお方であることを見てまいります。
Ⅰ．散らされた人々の伝道によって
ステパノが殉教した日から「エルサレムの教会に対する激しい迫害が起こり」使徒たち以外のクリスチャンたちは、ユダヤやサマリヤの諸地方に散らされました（使徒8:1）。しかし、散らされた人たちは、恐れて黙ってしまうどころか「みことばを宣べながら、巡り歩いた」のです（使徒8:4）。
迫害によって、福音がさらに拡がって行ったのは、主の救いの大きな喜びを体験したクリスチャンたちがその喜びを宣べ伝えずにはいられなかったからです。福音には力があり、信じるすべての人に救いを与えます（ローマ1:16）。私たちも今、それぞれの所に置かれています。一人ではありません。聖霊が共にいてくださいます。御言葉を頼りに、聖霊に導かれて歩む時、主はその人を通して御自身の恵みを現してくださるのです。
Ⅱ．ピリポのサマリヤ伝道
散らされたクリスチャンたちが福音を伝えたことで、そこに主を信じる信仰者の大きな群れ（教会）が生まれました。聖書は、その中に先の配給の件で選ばれた7人の執事の一人であるピリポ（使徒6:5）が、「キリストを宣べ伝えた」（使徒8:5）ことを語っています。
ピリポは、一人の魔術師によって支配されていた地方に福音を宣べ伝えました。それと共に、悪霊を追い出し、多くの病人をいやし、人々に真の救いと解放をもたらしたのです。その結果、「その町に大きな喜び」が起こりました（使徒8:5-8）。ピリポは魔術師とは違って、「キリストを宣べ伝えた」のです。私たちも、ただ主イエス・キリストとその福音のみを宣べ伝えるだけで良いのです。人ではなく、主なる神が、人を罪から解放し、救いと豊かな命に生かして下さるのですから。
Ⅲ．福音は真に人を罪から解放する
ピリポを通して伝えられた福音によって、サマリヤの人たちはそれまで自分たちを支配していた魔術から解放され、真の神である主イエスと出会って、バプテスマを受けました（使徒8:12）。さらには、魔術師までが主イエスを信じて洗礼を受けたのです（使徒8:13）。これは、主の福音が伝えられる所には、救いと共に、人を縛っている罪や悪習慣などの様々なものからの解放が起こることを示しています。
私たちも、以前は罪や形を変えた様々な「魔術」の奴隷のようになっていました。しかし、救い主イエスの十字架の贖いによって、「神は、私たちが行った義のわざによってではなく、･･･聖霊による、新生と更新との洗いをもって私たちを救ってくださった」（テトス3:5）のです。主の十字架の救いを感謝して受け、御言葉と御霊に導かれて、信仰に堅く立ち続けましょう。そして、この主の救いを宣べ伝える者とさせて頂きましょう。
結 び
迫害によって、クリスチャンたちは散らされて行きましたが、そのことがかえって福音が世界に広がって行くきっかけとなりました。主は、私たちの目には困難とか災難としか思えないようなことでも、全ての事を益としてくださることを覚えましょう（ローマ8:28）。
