『神に知られる幸い』
はじめに
本日の聖書箇所から、主が私たちを知っておられることの幸いについて見てまいります。
Ⅰ．偶像に捧げられた肉についての問いから
コリント教会の人々は、自分たちの知識が正しいことを確認するために、偶像に供えられた肉の問題についてパウロに質問しました。パウロは彼らの知識が正しいことを認めた上で、その「知識は人を高ぶらせ、愛は人の徳を建てる」ことを語ります（Ⅰコリント8:1）。それは、コリント教会の人々で知識を持つ者たちが、それによって他の者たちを軽んじていたからでした。
パウロは、知識を持っていると思っている人たちに、「まだ知らなければならないほどのことも知ってはいない」と警告しています（Ⅰコリント8:2）。「知らなければならないこと」とは、キリストの愛です。愛を伴わない知識は自己満足でしかなく、それは他者と共に共同体を立てあげて行くどころか、交わりを破壊するものとなるからです。信仰における知識は、愛をもって教会を立てあげ、建徳的な交わりを育んでいくべきものであることを覚えましょう。
Ⅱ．真の神を知る知識は人を自由にする
聖書は、世の人々は偶像、すなわち「多くの神や、多くの主」と呼ばれるものを恐れ、それに束縛されていると教えています。それは、偶像という偽りの神々が人の生活の支配者となっているということです。しかし、真の「知識」は、唯一の真の神以外に、いかなる神もないことを理解させます（Ⅰコリント8:4）。
創造主を知る信仰の知識は、偶像に供えられた肉を食べることを気にすることに代表される、人を縛る様々な罪から解放し自由を与えます。主イエスは、罪の奴隷となっていた者たちに自由を得させるために、十字架の贖いによって私たちを解放してくださいました（ガラテヤ5:1）。主イエスこそ「知恵」、「知識」です。私たちは神の知恵、知識に生かされていることを覚え、信仰に堅く立たせて頂きましょう。
Ⅲ．神に知られている
私たちは、主イエスの十字架の贖いによって罪の奴隷から自由とされ、主を恐れる者とされました。「主を恐れることは知識の初めです」（箴言1:7）。「知識」は、私たちに主に対する畏敬の念を起こさせ、礼拝へと導くと共に、主に信頼し喜びをもって主なる神との交わりに生きる幸いを与えてくださいます。
私たちが、神との交わりに生きるようにしてくださったのは、主なる神の一方的な恵みに拠ることです。主は私たちがまだ、神に敵対している者であったときにすでに知っておられ、愛を与えてくださっていたのです（Ⅰヨハネ4:19）。父なる神の愛は、御子イエスの十字架に示されました。神が私たちを知って愛してくださっていることを知ること、そしてその救いを頂くことこそが、本当に持つべき信仰の知識です。私たちは主に知られていることを覚えて、霊と真をもって主を礼拝し、日々主と共に歩み続けましょう。
結 び
父なる神は、私たち一人一人を知っておられて、神と御子イエスを知る知識を与えてくださいました。この知識は、信じる者を永遠の命へと導く偉大な力です。知識は、主の愛をもって互いに用い合うときに、建徳的なものとなり、生きたものとなります。主の愛をもって、互いに主の知識を用いてまいりましょう。
