『執り成す聖霊』
はじめに
本日の聖書箇所から、聖霊が言いようもない深いうめきによって、私たちのためにとりなしてくださることについて見てまいります。
Ⅰ．聖霊は弱い私たちを助けてくださる
私たちは、主イエスの贖いによって、神の偉大な御国を受け継ぐべき神の子とされました。聖書は、この約束を信仰と祈りによって、忍耐をもって待ち望むべきであると教えています。しかし、それらは目に見えるものではないので、弱い私たちはこの世の現実に押しつぶされたり、埋没してしまって、主の偉大な望みを見失ってしまうことがあります。主は私たちのその様な弱さをよくご存じで、助け主なる聖霊を遣わしてくださいました。
聖霊は、「どのように祈ったらよいかわからない」という私たちの弱さの本質を顧みて助けてくださいます。聖霊は私たちが神との交わりを持つことができるようにと内に住んでくださり、神に執り成して、私たちに代わって祈り、主との交わりに生きるようにしてくださいます。
初代教会時代のクリスチャンたちは、多くの迫害があったにもかかわらず、主を信じて生き生きとしており、主イエスの福音を大胆に証しして行きました。それは、彼らと共におられた聖霊が、主イエスが実際におられることを体験させ続けたからでした。今も、聖霊は私たちに主イエスの臨在を現して、様々な困難の中から助け出してくださることを覚えましょう。
Ⅱ．聖霊は、言いようもない深いうめきによって執り成してくださる
私たちのうちに住まわれている聖霊は、私たちのために言いようもない深いうめきによって執り成し祈ってくださいます。その祈りは、父なる神のみ心にそったものです。なぜなら、「人間の心を探り窮めるお方は、御霊の思いが何かをよく知っておられる」からです（ローマ8:27）。聖霊は、私たちが的外れのことを祈るのではなく、主に祈るべきことを教えてくださるのです。
旧約聖書に、失望と深い悲しみのただ中で、主の前に心を注ぎ出し祈ったハンナという女性がいました（Ⅰサムエル1章）。彼女は、主の前に祈り続けていった時、御霊に触れられて、自分の苦しみを通して、主のみ心を教えていただきました。その時、ハンナは自分が抱えている問題、苦難はすでに解決したことを知り、聖霊が主の御心を祈るようにと導かれたのです（Ⅰサムエル1:18）。
聖霊は、私たちの祈りを導かれ、究極的には私たちにとって最善のこと、そして、主の願われる道へと私たちを導いてくださいます。クリスチャンは、聖霊が祈りを導いてくださり、正しい道へと導いてくださるという確信を持って歩んで行く者であることを覚えましょう。
Ⅲ．主は全てのことを働かせて益としてくださる
私たちのために執り成してくださる聖霊は、「神がすべてのことを働かせて益としてくださる」（ローマ8:28）ことを教えています。ここで、「益」とは、主が「あらかじめ知っておられる人々を、御子のかたちと同じ姿」にするということです（ローマ8:29-30）。
主イエスは、この地上での生涯の中で、父なる神との豊かな命の交わりに生きられました。父なる神に十字架の死に到るまで全くの信頼を寄せ、神を愛し、人を愛して生きる姿を見せてくださいました。そして、死によっても失われることのない御子の栄光を復活によって示し、私たちクリスチャンも主イエスの再臨の時に死に全く勝利して復活するという望みを与えてくださいました。
私たちは究極的には、主イエスと同じ姿にされるという、主の偉大な約束、希望に生きる者とされています。神の御国においては、「見よ。神の幕屋が人とともにある。神は彼らとともに住み、彼らはその民となる。また、神ご自身が彼らとともにおられて、彼らの目の涙をすっかりぬぐい取ってくださる。もはや死もなく、悲しみ、叫び、苦しみもない。なぜなら、以前のものが、もはや過ぎ去った」（黙示録21:3-4）と約束されています。信仰生活の歩みの中で、主はいつも私たち信じる者のために全てのことに共に働いて良きことにしてくださることを覚えましょう。主に望みをおいて、今ある所で、主の栄光を仰ぎ望んで歩んでまいりましょう。
結 び
聖霊は、弱い私たちのことを十分知ったうえで、私たちを助けてくださるお方です。私たちクリスチャンが、受け継ぐべき天の御国を目指して、信仰生活を全うすることができるようにと、執り成しておられます。キリストに似る者なるために、御言葉を土台として、聖霊の導きに従って、主をより深く知って成長させていただき、キリストに似る者とさせていただきましょう。
