『何ものにもまさる捧げもの』
はじめに
イスラエルの民は、主に代わって自分たちをさばく王を求めました（Ⅰサムエル8章）。主は、民の願いを許され、サウルを最初の王として立てられました。本日はサウル王の行いから、主が喜ばれる捧げものについて、御一緒にみてまいります。
１．主の御言葉に従う
イスラエルの王として選ばれたサウルは、すぐに、主を第一とし、信頼することから離れてしまいます。サウルは、敵ペリシテ軍との戦いにおいて、サムエルが定めた日を待つことができずに、迫り来る敵を恐れ、脱走する兵士たちを見て、祭司が行うはずの全焼のいけにえを自ら捧げてしまいます（Ⅰサムエル13章）。これは、越権行為というだけではなく、主への信頼のなさ、不信仰を示すものでした。
サウルは、主の御言葉に対して徹底的に従うことをしませんでした（Ⅰサムエル15章）。主は、アマレク人を聖絶することをサウルに命じました（Ⅰサムエル15:2-3）。しかし、彼はアマレクのアガグ王を生け捕りにし、分捕り物の良きものを残します（Ⅰサムエル15:9）。サウルは預言者サムエルに、もっともらしい言い訳をしますが（Ⅰサムエル15:15,20-21）、これは明らかに御言葉に対する不従順でした。
サウルは、主に対する全き信頼と御言葉への徹底した従順が無いために、王位から退けられ、主の恵みさえも失ってしまいます。私たちクリスチャンの祝福の基は、主への信頼と御言葉への従順にあります。「主の御声に聞き従う」（Ⅰサムエル15:22）こと以上に大切なことはなく、主が喜ばれることはないことを覚えましょう。
２．主に心から悔い改めよ
アマレク人は、かつて出エジプトの時、「神を恐れることなく、道であなたを襲い、あなたが疲れて弱っているときに、あなたのうしろの落後者をみな、切り倒したのである。」（申命記25:18）とある通り、民の弱みに付け込んで滅ぼそうとした民です（出エジプト17:8-16、申命記25:17-19）。出エジプトからサウル王制までの数百年間、主は彼らに、悔い改めと赦しの猶予を与えて来られたことでしょう。しかし、長い年月をいくら経ても、アマレク人は主の前に悔い改めることをせず、神の民に敵対し続けたのです。ここで、主の裁きの時が満ちたのです。ただし、出エジプトの時、イスラエルに親切にしたケニ人にはアマレクから離れるように語っています。ここに、主の憐れみを見るのです（Ⅰサムエル15:6）。
今日、アマレクとは私たちの内にある罪のことと捉えることができます。少しでも罪を残しておくなら、サタンに誘惑の機会を与え、信仰の成長を妨げることになります。罪は人の力で滅ぼし尽くすことは不可能です。主の十字架だけが罪を完全に滅ぼし、悪魔に完全に勝利したのです。今、主イエスを信じる者の内には、キリストの聖い御霊が住んでくださることを感謝しましょう。日々御言葉によって心探られ、聖霊の光に照らされて、罪に勝利して歩んでまいりましょう（ガラテヤ2:20）。
３．自分自身を聖い、生きた供え物としてささげなさい
主なる神は、愛なる神であると同時に、義なる方、聖なるお方です。「あなたがたの神、主であるわたしが聖であるから、あなたがたも聖なる者とならなければならない。」（レビ記19:2）。父なる神は、御自身の聖さゆえに、御子イエスの十字架によって、信じる者を聖なる神の民としてくださいました（Ⅰコリント6:11）。「だれでもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去って、見よ、すべてが新しくなりました。」（Ⅰコリント5:17）神のものとなった私たちは、主への感謝の捧げものをしてまいりましょう。キリスト者が捧げる最高のものは、自分自身を、「神に受け入れられる、聖い、生きた供え物としてささげ」（ローマ12:1）ることです。主に信頼し従うことは、主の御声に聞き従うことであり、何にもまさる主へのささげものであることを覚えましょう（Ⅰサムエル15:22-23）。
まとめ
主が喜ばれるのは、生け贄や戦利品等に見る結果や成果ではありません。主の御言葉に真剣に耳を傾けて聞き、従うことです。サウル王の間違いは、主の声を中途半端に聞き、主よりも民の声を恐れてしまったこと、自分の都合や利益を優先させてしまったことです。まず、主の御言葉に従ってまいりましょう。そして、主が私たちのために御自身の命を与えてくださった偉大な恵みを覚えて、私たち自身を主の前に聖い生きた供え物として捧げてまいりましょう。
