『主に贖われた者たち』
はじめに
「贖う」という言葉は、当時のイスラエル社会では日常的な経済用語として使われていました。主は罪の奴隷となっている人々を解放し、御自身の民とするために、贖いを成し遂げてくださいました。本日は主の贖いについて、ご一緒に見てまいります。
１．主イエスは私たちの贖い主
主はイザヤを通して、イスラエルの民の不信仰に対する結果として、バビロン捕囚というさばきを与えることを語って来られました。イザヤ43章からは、さばきの後に、バビロン捕囚からの解放の約束が語られます。イスラエルを形造った主は、決して彼らを見捨てず、繰り返し「私はあなたとともにいる」と語ってくださっています（イザヤ43:2,5）。
この約束を成就すために、主は彼らを贖うと宣言してくださいました。すなわち、イスラエルは自らの不信仰によって罪の奴隷となっていましたが、主が彼らのために代価を支払って、罪の奴隷から解放し、主のものとして買い戻してくださるのです。その理由は、彼らが、主の目には高価で尊く、愛されているからです（イザヤ43:4）。
現代の私たちクリスチャンは、主イエスの十字架、すなわち、主イエスの命という代価によって罪の奴隷から解放され、復活の主の命に生きる新しいイスラエルとさせていただきました。主イエスの十字架の贖いは、私たち全ての者に及んでいます。今も変わることのない主は、信仰によるイスラエルである私たち一人ひとりの名を呼び続け、共にいてくださることを覚えて、主の招きに応えてまいりましょう。
２．主は私たちと共におられる
ここで主は、二度「わたしはあなたとともにいる」（イザヤ43:2,5）と約束をしてくださっています。イスラエルの民が、バビロン捕囚から解放されてエルサレムに帰還した時、そこには火の中を歩くような、厳しい現実や多くの困難が待ち構えていました。しかし、主はそのような真っ直中にあっても常に民と共におられて、「恐れるな」と語り続けてくださいました。捕囚の民は主の語りかけを信じて、「出バビロン」という主と共に歩む新たな一歩へと導かれました。
私たちのために十字架による贖いを完成してくださった主イエスは、復活後、「わたしは、世の終わりまで、いつも、あなたがたとともにいます」（マタイ28:20）と約束してくださいました。主は私たちがいかなる所にあっても、いつも共におられるお方であることを覚えましょう。主が共にいてくださるということ以上に、揺るぎない歩みはありません。「私はいつも、私の前に主を置いた。主が私の右におられるので、私はゆるぐことがない。」（詩篇16:8）
３．主は私たちを主の証人とされた
主は「あなたがたはわたしの証人、･･･わたしが選んだわたしのしもべである」（イザヤ43:10）と宣言されます。主は常に、イスラエルという民を通して、主の救いと恵みをすべての人々に示してこられました。このことは、主がイスラエルに関わってこられたこれまでの歴史を見る時に明らかなことです。
主は現在、イエス・キリストの救いを受けた者を通して、御自身の｢正義｣と「真実」を証ししてくださいます。主イエスは、私たちを「地の塩」、「世界の光」と呼んでくださっています（マタイ5:13,14）。私たちが、主イエスの招きに応える時、主は、私たちを用いて、御自身の栄光を現してくださることを覚えましょう。「あなたがたは、選ばれた種族、王である祭司、聖なる国民、神の所有とされた民です。それは、あなたがたを、やみの中から、ご自分の驚くべき光の中に招いてくださった方のすばらしいみわざを、あなたがたが宣べ伝えるためなのです。」(Ⅰペテロ2:9) 私たち一人ひとりは、主の証し人としての使命が与えられていることを覚えましょう（Ⅱコリント3:3）。
まとめ
主はかつて、御自身に背いたイスラエルに対して、「わたしがあなたを贖った」と語られました。このことは、イスラエルの民だけのことではなく、全て主を信じる者のために語られたことです。主はまだ私たちが罪人で、主に敵対していた時でさえも、私たちの救いのために御子イエスをこの世に遣わされ、十字架にかけてくださいました。主の目には、私たち一人ひとりが「高価で尊い」からです。私たちは、主イエスの十字架によって命に生きる者として贖われたことを感謝し、主のものとして歩み続けてまいりましょう。
