主に従う者の幸い
今日の聖書の箇所には、後に使徒と呼ばれるようになった主の弟子達の中核になった四人の召命の物語と、病やあらゆるわずらいを癒してほしいと願って主イエスに従った大勢の人々のことが記されています。どちらも、「主イエスに従った」ということが示されています。
１．主イエスに従った群衆
主イエスのなされた数々の力ある業によって、多くの人々が主イエスのところにやって来て、主イエスに従いました。「イエスのうわさはシリヤ全体に広まった。それで、人々は、さまざまの病気と痛みに苦しむ病人、悪霊につかれた人、てんかん持ちや、中風の者などをみな、みもとに連れて来た。イエスは彼らをお直しになった。」（マタイ4:24）病、わずらいで悩み苦しむ人々は、主イエスを十分理解してはいなかったと考えられます。彼らは、ただ自分に絡み付く悩みや問題から解放されたいという一心で従っただけなのかもしれません。しかし、主イエスは彼らを受け入れてくださったのです。今日、私たちがどんな悩みや苦しみを抱いていても、主のもとに行くなら、主は決してご自身に来る者を拒まれません。どんな人にも慰めと励ましを与え、癒して立ち上がらせてくださるのです。主は、問題の大小によらずどんなことであっても、主により頼む者を捨て置かれず、常に良きものをもって満たしてくださいます。主に何でもうち明け、日々私たちの重荷を担ってくださる主と共にあることを感謝しようではありませんか。「主は恵みと栄光を授け、正しく歩く者たちに、良いものを拒まれません。」（詩篇84:11）
2．主イエスによって召し出された者たち
次に、聖書は主イエスの十二弟子の内の四人の召命について記しています。彼らは主イエスに呼ばれたとき、直ちに従いました。どうして主が彼らを選ばれたのかは、聖書は沈黙しています。旧約聖書の中にも、主の働きのために特別に呼ばれた預言者たちの召命に関する記述がありますが、やはり選んだ理由は記していません。例えば、エレミヤが預言者として召し出された時、主は、「わたしは、あなたを胎内に形造る前から、あなたを知り、あなたが腹から出る前から、あなたを聖別し、あなたを国々への預言者と定めていた。」（エレミヤ1:5）と語っています。世に存在しない前から、主が彼を預言者として選んでいたということは、主が人を選ばれる基準や判断は人間の理解を越えたものであることが分かります。しかし、私たちには主の選びの理由は分からなくても良いのです。主がその理由を知っておられる以上、主の招きに応えていくのが最も幸いな道です。
弟子たちはその後、使徒と呼ばれ、初代教会の指導者になり、死に至るまで主に忠実に仕えて福音を宣べ伝えました。選ばれた者にしかできない、主の業を成し遂げたのです。私たちも主に呼ばれて主に従う者とされ、教会に召し集められました。私たちにしか現すことのできない、主の栄光があるのです。主はあなたを必要としているので、あなたを召しだしてくださったのです。主は真実なお方ですから、召してくださった以上、私たちの全存在に責任を持ってくださいます。「神の賜物と召命とは変わることがありません。」（ローマ11:29）
3．主に従う者は全て弟子である
群衆と弟子たちとでは、主に従うきっかけや動機は異なりました。しかし、主を信じるように招かれ、主に受け入れられたという点においては両者とも同じです。私たちが主を信じる経緯がどうであろうと、重要なことは主が私たちを呼んでくださったということです。主を信じて生きるということは、主イエスに従って歩むことであり、主に自分を献げて生きるということです。それはクリスチャンにとって特別なことではありません。弟子たちが選ばれたのは、まず主の身近におり、主の権威を与えられて遣わされ福音を宣べ伝えるためでした（マルコ3:14-15）。主に召し出されて、主に従う者となった私たちも、今それぞれが置かれている所に遣わされている主の弟子であり献身者なのです。毎日の生活の中で、主の身近におり、主との交わりの中で生かされて常に命をいただき、御言葉を私たちの言動を通して伝えるように主が召し出してくださったのです。そのために、主は十字架によって私たちを贖ってくださったのです。
主に従う者は、主が導いてくださるので安心して歩むことができます（イザヤ30:21）。私たちが今、どうしてここにあるのかということが分からなくても、主は私たちをここに置いておられる理由をご存じです。主が必要であると呼んでくださった以上、私たちは主の愛の招きに応え、今置かれているところで霊に燃やされ精一杯主に仕えようではありませんか（ローマ12:11）。
