『恐れず語り続けよ』
はじめに
本日は、パウロに語られた御言葉「恐れないで、語り続けなさい。黙ってはいけない。･･･この町には、わたしの民がたくさんいるから」を、私たちに告げられた言葉として聞いてまいりましょう。
Ⅰ．恐れないで、語り続けなさい
パウロは第二次伝道旅行中、コリントの町に一年半とどまって伝道をしました。この時、彼は、福音を語る時に受ける迫害や妨害に恐れを抱いていました。しかし、主はパウロに「恐れないで、語り続けなさい。黙ってはいけない。」と語られ、彼を励ましたのです（使徒18:9）。
私たちも、家族や友人や親しい人たちに福音を伝える時、自分がクリスチャンであると明かす時、恐れを覚える時があるのではないでしょうか。また、相手が理解してくれないばかりではなく、反感を買ったり、気まずくなってしまうので、沈黙せざるを得ないと恐れてしまうことがあるのではないでしょうか。そのような私たちに対して、今、主は、「恐れないで、語り続けなさい。黙ってはいけない。」と告げておられます。私たちはその主の御言葉を信じて、御言葉を伝え続けようではありませんか。なぜなら、主は「わたしがあなたとともにいるのだ。」と約束しておられるからです。
Ⅱ．御言葉には「しるし」が伴う
パウロは、コリントのユダヤ人会堂でもイエスがキリストであることを伝えましたが、そこでもユダヤ人たちから迫害を受けました。そこで、パウロは、ユダヤ人たちに決別宣言をし、会堂の隣の家で異邦人に伝道することとなります（使徒18:6-7）。これによって、パウロは同胞のユダヤ人からますます反感を受け、命さえも危うくなってしまいました。故に、パウロの恐れは、さらに強まっていったのです。そのような中、主は幻によって御言葉をパウロ与えられたのです。
主の御言葉には、「しるし」が伴っていました。具体的には、アクラとプリスキラというキリスト者の夫妻との出会い、会堂管理者クリスポ一家が主を信じたこと、そして、会堂の隣の家の主人テテオ・ユストの回心でした。この様な人たちを通して、福音がコリントの人々に伝えられ、「多くのコリント人も聞いて信じ、バプテスマを受けた」（使徒18:8）のです。
今も私たちに「恐れるな。語り続けよ。」と語っておられる主は、福音を語り続けるための具体的な状況、助け手、同労者との出会いなどを与えてくださいます。主は、私たちと共におられ、必要な一切を備えてくださることを覚えましょう。
Ⅲ．信仰の目を持って周囲を見よ
主はパウロに、「この町には、わたしの民がたくさんいるから」と語られました。これは、伝道の結果が、人の能力や熱心さによるものではないということを示しています。確かに、罪の力が根強く支配しているようなコリントの町を人の目で見るなら、救われる人の姿は全く見ることはできないでしょう。しかし、主の目は人とは違って、コリントのような町であっても、大勢の主の民がいることを見ておられるのです。パウロは、主が見られるように、信仰の目をもって現実を見るようにと励まされたのです。
この信仰の目を持つことは、パウロに限ったことではありません。主はいつの時代でも、どの地域でも、誰であっても、人の思いや予測を越えたところから、救われる人々を生み出されてきました。私たちの周りでも、福音が全く受け入れられないと思えるようなような所においてさえ、主は多くの救われる人々を見ておられるのです。
私たちには、救われるのは誰なのか分かりません。しかし、主はすでに、救いに与る人々をご存じであることを覚え、時が良くても悪くても御言葉を宣べ伝えましょう（Ⅱテモテ4:2、伝道者11:1）。恐れず、福音を語り続けましょう。私たちの周りには、主の民がたくさんいるのですから。
結び
私たちは、信仰をもってこの世を生きていますが、現実には、様々な恐れや不安があります。それは、伝道においても同じでしょう。しかし、主イエスが私たちに先立って、先ず私たちを選んで救ってくださり、召し集めてくださいました。そればかりではなく、主は、私たちがまだ知らない多くの人々をも選び、召し集めようとされていることを覚えましょう。私たちも、パウロと同じように、恐れや不安に押し潰されるのではなく、主が共に居てくださることを覚えて、信仰によって前進し、救い主イエス・キリストを宣べ伝えて行きましょう。
