『しんがりとなられる神』
はじめに
本日の聖書箇所から、主なる神は先頭になってイスラエルの民を導くだけでなく、しんがりとなって民を守るお方でもあることを見てまいります。
Ⅰ．私たちの先頭になり、しんがとなって導く神
主は、指導者モーセを立てて、奴隷となっていたイスラエルの民をエジプトから脱出させ、約束の地へと導かれました。その40年間、主は、昼は雲の柱の中に、夜は火の柱の中にいて（出エジプト13:21-22）、あるときは先頭に、あるときはしんがりにたって民を導かれました。
イスラエルがエジプトから脱出した時、思いを翻したエジプト王は、その軍隊をもって民を追いかけました。民は、後方のエジプト軍、前の紅海で身動きが取れませんでした。この時、民の陣営の前を進んでいた神の使いは、移って、民のあとを進み（出エジプト14:19-20）、エジプト軍を止めて、前方の海の中に道を設けてくださいました。
神は、私たちの進むべき道を示して導いてくださいます。私たちが主イエスと共に信仰生活を歩む時、過去の様々な罪の結果が迫ってくることがあります。しかし、主は私たちのしんがりとなって、後から押し迫ってくる様々な戦いに勝利をしてくださいます。主イエスの十字架の贖いによって、主による新しい命に生きる者とされたことを感謝し、主と共に歩んでまいりましょう（Ⅱコリント5:17）。
Ⅱ．しんがりの神は、私たちを御国へと導かれる
シナイ山で、イスラエルと契約を結んでくださった神は、十戒を記した二枚の石の板をモーセに授けられました。しかし、その間に、モーセの帰りが遅いのを不安に思った民は、自分たちに先立って導く神として、金の子牛の鋳物を造り、それに向かってひれ伏し拝みました（出エジプト32:1）。この民の不安は、主なる神を信じないことから生じるものでした。民の関心は、自分たちに先立って進む神だけであり、しんがりにも立ってくださっている神に思いが及んでいなかったのです。
人が造った神は、神ではなく、自分の都合を満たすために造り上げた偶像です。この民の行為は、契約を結んでくださった神への不信仰によるものでした。私たちは、人生において様々な恐れや不安を覚えます。しかし、御子をも惜しまずに、私たちの救いのために世に遣わし、十字架による救いを与えてくださった父なる神は、私たちに神の愛を示され、全ての恐れを一掃してくださったのです（エペソ2:14-15）。主イエスの贖いによって、私たちは神を「父」と呼び（ガラテヤ4:6-7）、大胆に神の御前に立つことを許されました（ヘブル10:19）。目には見えませんが、主なる神に信頼し、御言葉に従って行きましょう。主イエスがしんがりであるとは、私たちを約束の御国へと導くお方であることを示しているのです。
Ⅲ．主イエスは、しんがりとなって救いを成し遂げられた
神は、イスラエルの民の契約違反を怒られました（出エジプト32:9-10）。モ-セは、民の赦しのために神に嘆願し（出エジプト32:12）、執り成して祈りました。神は、このモ-セの祈りによって、その民に下すと言われたわざわいを思い直さました。
神は、モ-セが民の罪の身代わりになることをさせずに、民を赦されました。しかし、第二のモ-セとして遣わされた御子イエスは、全ての人の身代わりとなってくださいました。主イエスの十字架の贖いによって、私たちは完全に罪を赦され、永遠の命を頂いたのです。主イエスが、人の救いのために、しんがりとなって十字架で死んでくださったことを感謝しましょう。
復活の主は、今もなお、私たちを御国へと導き続けておられます。私たちは、常に主を信頼して、進む時は進み、待つ時はとどまって主の時を待とうではありませんか。「あなたがたは、あわてて出エジプトなくてもよい。逃げるようにして去らなくてもよい。主があなたがたの前に進み、イスラエルの神が、あなたがたのしんがりとなられるからだ。」（イザヤ52:12）。
結び
モーセは、イスラエルの罪の赦しのために、神の前にしんがりとなって自分の命をかけて執り成しをしました。この姿は、主イエス・キリストの雛形です。主イエスは罪人の救いのために、ご自身の命を捧げてくださり、私たちの先となり、時にしんがりとなって、神の御国へと導いてくださいます。いかなる時も、主に信頼し、導いてくださる主と共に歩んでまいりましょう。
