『神にある平和の道』
はじめに
本日の聖書箇所から、罪の裁きを受けなければならないようなイスラエルであっても、主なる神が、ひとりの義なる王を通して真の平和を与えると約束されたことを見てまいります。
Ⅰ．ひとりの義なる王、イエス・キリスト
主は南ユダに、迫り来るアッシリヤの脅威に対して、主に信頼するようにと語りました。ユダは、主なる神にではなく、エジプトに代表される人間の手段に頼りました。主はさらに、主こそが民を守り、救い出して解放するという約束をされました（イザヤ31:5）。
この約束とは、「ひとりの王が正義によって治め、首長たちは公義によってつかさどる」(イザヤ32:1)というものです。「ひとりの王」とは、当時のヒゼキヤ王のことですが、究極的には救い主イエス・キリストのことです。主イエスは、私たちのために、風や嵐を避ける隠れ場のようになってくださるお方です（イザヤ32:2）。そして、主イエスこそ、霊的にも物質的にも完全な平和と安息を与えてくださいます（ヨハネ6:35、エペソ2:14）。
主イエスは、霊的に死んでいる者たちに新しい神の命を与え、神の御言葉を悟って、主と共に生きるようにしてくださいます。私たちキリスト者は、主イエスの十字架の贖いによって神の民とされたことを覚えましょう。父なる神の与えてくださった大いなる恵みに感謝し、主を礼拝し、霊的に飢え、貧しくなっている人々に主の恵みの訪れを語り伝えてましょう。
Ⅱ．義は平和をつくり出す
主は、アハズ王時代の指導者たちのことを、「しれ者」「ならず者」と言っています。彼らは、危機的状況の中で、神に立ち返って、主に信頼するように何度も警告されました。しかし、彼らは、この世の知恵や方法に頼って神を無視し、主を畏れることをしませんでした。そればかりか、貧しい者たちから搾取し、弱い者たちを踏み台にして自分たちを肥え太らせていました。
この様に人の目には何一つ希望の持てないような時に、主は人々に霊を注ぎ、「荒野が果樹園となり、果樹園が森とみなされるようになる」（イザヤ32:15）と約束してくださいました。さらには、神との和解による真の平和が、人々に与えられることを示されました（イザヤ32:17）。ここでの「平和」とは、「義は平和をつくり出し」（イザヤ32:17）とあるように、神との本来の正しい関係によってつくり出されるものです。平和を求めるなら、平穏を望むなら、先ず、神との正しい関係を求めなければなりません。神との義なる関係は、主イエス・キリストを信じる信仰に拠ることを覚えましょう（ローマ5:1）。
神はユダの民に、「平和な住まい」、「安全な家」、「安らかないこいの場」を与えると語られました（イザヤ32:18）。私たちクリスチャンは、主イエスを信じる信仰によってこれらを頂いています。主イエスを救い主として心に受け入れるなら、誰でも救いを頂き、神との真の平和が与えられることを覚えましょう。
Ⅲ．主イエス・キリストこその平和の道
当時のイスラエルの姿は、現代の私たちにも重なります。主イエスは、弟子たちに主の再臨の時や世の終わりの前兆について、偽預言者や戦争の噂、不法がはびこるので人々の愛が冷たくなることなどを語られています（マタイ24:4-14）。今がまさに、主が語られた終わりの時であることを覚え、イザヤの時代に語られた主の約束が今も生きており、主の御手が介入されていることを見ることができることを強く信じ、主に期待しましょう。
私たちは今、終末の神の御国を待ち望んで、この世を主と共にしばらく歩まなければなりません(イザヤ32:19)。しかし、主の祝福の約束は確かに成し遂げられること(イザヤ32:20)、そして、主イエスと共にあるなら、私たちの内に常に神の平和があることを覚え、今置かれているところで、主の栄光をますます現す者とさせていただきましょう。
結び
主は、絶望的に見えるイスラエルに、ひとりの義なる王が与えられることを約束してくださいました。この王によって、聖霊が人々に注がれること、荒野が果樹園となり、それがやがて森とみなされるようにまでなること、そして、真の平和を実現してくださることを示してくださいました。これらのことは、御子イエス・キリストが世に来てくださり、十字架の贖いによって完成してくださいました。主イエス・キリストこそ私たちの平和であり、二つのものを一つにし、隔ての壁を打ちこわして、父なる神との和解を成し遂げてくださったのです。神の真の平和を頂いた私たちは、この平和の良き訪れである福音を宣べ伝えて行きましょう。
