『神の愛、豊かにあれ』
はじめに
本日の聖書箇所から、主を知ることによって、愛がいよいよ豊かにされることを見てまいります。
Ⅰ．真の知識とあらゆる識別力によって
聖書は、クリスチャンの愛が豊かにされるために、二つの事を教えています。一つは「真の知識」、もう一つは「あらゆる識別力」です。「真の知識」とは、主なる神についての知識のことで、主を正しく知るということです（箴言1:7）。主を知ることと、愛を知ることとは同じです（Ⅰヨハネ4:7-8）。「識別力」とは、神の御心が何であるかを悟ること、神の喜ばれることを知ることです（コロサイ1:9-10）。
聖書では、「愛は神」ですと言っています（Ⅰヨハネ4:8）。ですから、愛の神についての知識を豊かにするとは、愛について豊かに知るということです。私たちは御言葉によって、また、御言葉の説きあかしによって、信仰生活を送る中で、神を知り、神が愛であることを知るのです。神を知ることは、私たちの永遠の命に関わる大切な事であることを覚えましょう。「その永遠のいのちとは、彼らが唯一のまことの神であるあなたと、あなたの遣わされたイエス・キリストとを知ることです。」（ヨハネ17:3）
Ⅱ．真にすぐれたものを見分けることによって
「見分ける力」とは、真の知識、識別力をもって物事の真理を見抜き、正しい選択をする判断力のことです。これによって、私たちは、日々の生活において何が神の御心か、神に喜ばれることかを正しく判断し、決断をすることができるのです（ローマ12:2）。
主イエスの愛には、見分ける力がありました。主は、十字架にかかることをいさめたペテロの人間的な愛を見破って、叱責しました（マルコ8:33）。神の愛を深く知るなら、人の情的なものに左右されず、神の御心から離れることは決してありません。
主は、「神の国とその義とをまず第一に求めなさい。そうすれば、それに加えて、これらのものはすべて与えられます」（マタイ6:33）と言われました。私たちが第一に願い求めるべきことは、「神の国と神の義」です。私たちが信仰生活を歩む上で、正しく優先順位を付けることが出来る判断力を求めましょう。
Ⅲ．キリストの日に備える
パウロはその祈りの中で、「キリストの日には」とある通り、クリスチャンの終末を見すえています。すなわち、主の再臨の時まで、ピリピ教会の人たちが「純真で非難されるところがなく、イエス・キリストによって与えられる義の実に満たされている者となり、神の御栄えと誉れが現されますように」（ピリピ1:10-11）と願っていました。
私たちは、主イエスの十字架の贖いによって、罪を赦されて義なる者とされました。それと同時に、「義の実」、すなわち、キリストにある練られた品性（ローマ5:4）や良い性質（ガラテヤ5:22）を持つ者として成長させて頂いています。
すべての良い働きは、決して人から出たのではなく、初めに主が私たちのうちに始めてくださったものです。私たちを、キリストに似る者として成長させてくださるのは、主なる神であることを覚えましょう。限りない神の愛は、豊かに信じる者に降り注がれ、神の愛に生きる者、神の愛に生きる教会と成長させてくださるのです。そのために、私たちは、主イエスに拠り頼み、真の知識とあらゆる識別力によって真にすぐれたものを見分け、主の愛を豊かにさせていただきましょう。
結び
主なる神は、ピリピ教会の人々が、神の豊かな愛に満たされるように導かれました。今も変わらない主は、私たちも主の愛に満ち満ちた者となるように導いてくださっています。私たちは、御言葉と御霊の導きによって、主が再臨される時まで、神を知る真の知識とあらゆる識別力によって、主の愛をいよいよ豊かにさせていただき、全てを見分けていく力をもって、信仰生活を歩んで行きましょう。
