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『雲の柱、火の柱』

説教:髙橋正人 牧師

はじめに

本日の聖書箇所から、主はイスラエルを神の民とするために、エジプトから脱出させ、約束の地へ導く中で、信仰の訓練を与えられたことを見てまいります。

Ⅰ.主が備えてくださった歩み

イスラエルは出エジプトまでは、エジプトの奴隷でした。それは、罪によって起きたヨセフとその兄弟との問題に遡ります(創世記37章-50章)。モーセはエジプトを出る時、ヨセフの遺言に従い、その遺骸を携えていました(出エジプト13:19)。これは、主が御計画されたこと、そして約束されたことは、必ず成し遂げられるということです。

目指す約束の地までは、おおよそ10日ほどの道のりでした。しかし、民がその地にたどり着いたのは40年後でした。主が民への深い配慮をもって、近道ではなく、あえて遠回りとなる道を通らせたからです。民は荒野の40年で、主からの大切な信仰の訓練を受け、主に全く信頼する恵み豊かな生活の基礎を学んだのです。

主は私たちに、しばしば人の目から見るならば、遠回りのように思える道を進むよう命じられることがあります。主はそこで、長い時間をかけて私たちの信仰を練られるのです。また、人が見て最善と思う道と、主が示される道とが大きく異なることがあります(箴言14:12)。人の目から見たら遠回りの道、「なぜですか」と思われる所に、実は、主の最善があることを覚えましょう。私たちは、目に見える現実や自分の計画によってではなく、先立ち進んでくださる主の導きを仰ぎ見て進もうではありませんか。

Ⅱ.主が共に歩まれる道

約束の地への道中は、民だけが歩むのではなく、主が共に歩んでくださる道です。主なる神は、昼は雲の柱、夜は火の柱をもって民を離れることなく、人々を導き続けられました(出エジプト13:21-22)。

雲の柱、火の柱は、主の臨在を示す見えるしるしです。この雲の柱は、常に民を導き、時に前を進んだり、後ろへまわったりしながら、イスラエルを守りました(出エジプト14:19-20)。民は、主の命令によって、この雲の動き、すなわち主の御心に従って進んだり、止まったりしたのです(民数記9:18-21)。

現在の私たちにとって、主の臨在を示す「雲の柱、火の柱」は、主イエス・キリストです。また、聖霊は、私たちと共にいてくださり、主イエスを証ししてくださいます。主イエスは、「その名はインマヌエルと呼ばれる(神は私たちとともにおられる)」(マタイ1:23)お方であり、「わたしは、世の終わりまで、いつも、あなたがたとともにいます」(マタイ28:20)と約束してくださいました。今日も、そして、これからも、父なる神は御子イエスという雲の柱、火の柱をもって、教会を、そして私たち一人ひとりを導いてくださっていることを感謝し、主に従ってまいりましょう。

Ⅲ.主と共に歩む道は全ての人に開かれている

イスラエルがエジプトから出て行くとき、彼らと共に「多くの入り混じって来た外国人」も出て行きました(出エジプト12:38)。ですから、主と共に歩む人生の旅路は、イスラエルだけではなく、全ての人々に与えられている歩みです。

出エジプトの時、モーセが語る主の言葉を信じて行った者、すなわち、羊を過越のいけにえとしてほふり、その血を二本の門柱につけた者は誰でも、主はその戸口を過ぎ越され、滅ぼす者がその家の者を打つことがないようにされました(出エジプト12:21-22)。このことは、十字架の主イエスの雛形です。主イエスは、「世の罪を取り除く神の小羊」(ヨハネ1:29)として世に来てくださったからです。

主イエスは、「狭い門から入りなさい。滅びに至る門は大きく、その道は広いからです。そして、そこから入って行く者が多いのです。」(マタイ7:13)と語られました。命に至る門は狭いと言われていますが、主が備えてくださった命の門は、確かな道です。いかに狭くても、命に至る門なのですから、このキリストという門から入りましょう。

結び

主は、昼は雲の柱の中に、夜は火の柱の中にいて、イスラエルの民を導かれたように、いつも私たちの前を進んで、私たちの歩む道を示し導いてくださいます。主イエスは、常に私たちと共に居てくださり、私たちを深くご存じのお方です。例え、遠回りに思えたとしても、主が導かれる歩みは、一番の近道であり、確かな歩みです。私たちが成すべき事、それは、主イエスに従うことであることを覚えましょう。「あなたが右に行くにも左に行くにも、あなたの耳はうしろから「これが道だ。これに歩め」と言うことばを聞く。」(イザヤ30:21

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