『信仰によって幸いを得る』
はじめに
ヘブル書は、信仰について、理屈ではなく、具体的に主を信じて歩んだ人々の姿について示しています。本日は、信仰の父と呼ばれるアブラハムとその妻サラの信仰を見てまいります。
１．アブラハムの信仰
アブラハムは、私たちクリスチャンにとっても「信仰の父」です。それは、人の血筋によるのではなく、「信仰による人々こそアブラハムの子孫」（ガラテヤ3:7）だからです。父なる神は、アブラハムへの祝福が、主イエスの十字架の贖いによって、「異邦人に及ぶ」ようにしてくださいました（ガラテヤ3:13-14）。
アブラハムは、主に「わたしが示す地へ行きなさい」（創世記12:1）と命じられた時、「これに従い、どこに行くのかを知らないで、出て行きました」（ヘブル11:8）。アブラハムにとって、何かの保証があったわけではなく、一体どこに行くかも知りませんでした。彼はただ、主に呼ばれて、その御言葉に従って出かけたのです。イスラエルの人々は、自分たちの民族の歴史、信仰の歴史は「信仰の父」と呼ばれたアブラハムが、主の招きに聞き従ったことから始まったと信じています。
私たちクリスチャンの信仰生活は、先ず、主イエスが私たちひとり一人の名を呼んでくださったことから始まりました。そして、アブラハムが「地上のすべての民族は、あなたによって祝福される」（創世記12:3）と約束してくださったように、私たちを通して、すべの人々にキリストの救いを証しするという祝福の基とされたことを感謝しましょう（ヨハネ15:16）。
２．サラの信仰
サラは、人の目には子を産めるような状態ではありませんでした。その様な彼女に、御使いは「主に不可能なことがあろうか」（創世記18:14）と語り、彼女に信仰を賜物として与えられます。信仰は、主が与えるもので、人の中からは生まれてきません。「あなたがたは、恵みのゆえに、信仰によって救われたのです。それは、自分自身から出たことではなく、神からの賜物です。」（エペソ2:8）
サラは、御使いの語る主の御言葉を信じました。それを主は、「彼女は約束してくださった方を真実な方と考えた」（ヘブル11:11）と言ってくださいました。主はどんな時でも、私たちに主を信じるための信仰を御言葉によって与えてくださっていることを覚えましょう。また、聖霊も弱い私たちを、助けてくださることを信じましょう。「聖霊は、あなたがたにすべてのことを教え、また、わたしがあなたがたに話したすべてのことを思い起こさせてくださいます」（ヨハネ14:26）。
３．永遠の都を目指して旅する者
ヘブル書は、アブラハムやサラを初めとして、信仰によって生きた人々は、この世では「約束のものを手に入れることはありませんでしたが、はるかにそれを見て喜び迎え、地上では旅人であり寄留者であることを告白して」（ヘブル11:13）いたと語ります。この世は、信仰を奪おうとしたり、信仰によって歩むことを妨げたりする、様々な攻撃や逆境で満ちています。しかし、聖書は信仰によって歩み通した先人たちにならって歩むよう私たちを励まします。信仰に生きる者は、過ぎ去ってしまうこの世のものにではなく、究極的な祝福、主と共にある御国を目指すべきことを教えます。
私たちも、この世の多くの報いを受けるより、永遠に変わることない偉大な報い、永遠の命と、永遠の神の御国を目指して進んで行こうではありませんか。私たちは、主イエスの十字架の贖いによって救われ、神の民とされていることを感謝しましょう。また、信じる者に聖霊が臨んで下さっていることを覚えましょう。「聖霊は私たちが御国を受け継ぐことの保証です。」（エペソ1:14）私たちは、「義の栄冠」を頂くために、信仰の歩みを続けてまいりましょう（Ⅱテモテ4:7-8）
まとめ
天の故郷にあこがれて生きた先祖たちに、主は「彼らの神と呼ばれることを恥」とせず、また、「彼らのために都を用意して」（ヘブル11:16）くださいました。彼らは、この地上においては、約束のものを手に入れることはありませんでしたが、主は信仰者たちのために、栄光に富む天の故郷、天の都を用意してくださっています。そして、主イエスを通して神の民となるために、救いを与えてくださいました。私たちには、確かな天の都が用意されています。主を見あげて、天の故郷を目指して信仰によって歩み続けましょう。｢今の時のいろいろの苦しみは、将来私たちに啓示されようとしている栄光に比べれば、取るに足りないものと私は考えます。｣(ローマ8:18)
