『我らを潤す聖霊』
はじめに
ペンテコステの日に聖霊が弟子たちに降ったことは、旧約聖書時代から約束されていました。本日は、イザヤ書から聖霊が与えられるという約束について見てまいります。
１．主の救いの奥義
預言者イザヤは、イスラエルの民に、捕囚から解放されて、祖国に帰る時が来るという主のご計画を預言します。この救いは、イスラエルに対する一方的な主の憐れみによることでした（イザヤ42：24－43：28）。もともと、主の救いと憐れみを受けるにはふさわしくない民を、主が選ばれて「神の民」としてくださいました（出エジプト6:7）。昔、主がイスラエルをエジプトから救い出されたように、バビロンからも救ってくださるという約束をしてくださったのです。これは、「そむきの罪をぬぐい去り、もうあなたの罪を思い出さない」（イザヤ43:25）とあるように、完全な赦しに基づくものです。
さらに主は、「先の事どもを思い出すな。昔の事どもを考えるな。見よ。わたしは新しい事をする。今、もうそれが起ころうとしている。あなたがたは、それを知らないのか。」（イザヤ43:18-19）と宣言されます。イスラエルの歴史において、民は、出エジプトに代表される、主の様々な御業を経験してきました。しかし、これから起こることは、これまでとは比較にならないほど大きな主の赦しと憐れみ深さを知らせるものだというのです。それは、具体的にはイスラエルをバビロンから解放するということですが、同時に、やがて究極的な救い主をこの世に遣わすという、誰も考えの及ばなかった主の救いの約束でした。
私たちを罪から解放するために、父なる神は、ひとり子イエスをこの世に遣わされました。御子イエスの十字架の贖いは、私たちに罪の赦しという恵みを与えてくださいました。イスラエルのバビロン捕囚からの解放とは、全人類が罪から救われるということのひな形です。主イエス・キリストの十字架の贖いによって、私たちは罪赦され、神の子とされ、永遠の命を頂いたのです。この主イエスの十字架の贖いは、だれも考えつかなかった、神の奥義です。
イスラエルが解放されて、祖国に帰還する時、主は、道なき荒野に道を作り、乾ききった荒地に川を設けて、民を安全に帰還させてくださいました。同様に、主イエスを信じる者に、主は歩むべき道を作られ、生ける命の水を与え続けてくださることを感謝しましょう。
２．聖霊を与える神の約束
「わたしは潤いのない地に水を注ぎ、かわいた地に豊かな流れを注ぎ、わたしの霊をあなたのすえに、わたしの祝福をあなたの子孫に注ごう。」（イザヤ44:3）これは、聖霊が一人一人に注がれて、主にある新しい命を与えられ、主と共に豊かな生活を歩むということです。主イエスは、「わたしを信じる者は、聖書が言っているとおりに、その人の心の奥底から、生ける水の川が流れ出るようになる。」（ヨハネ7:38）と言われました。
聖霊は、主イエスの十字架の贖いによって、父なる神のもとから遣わされた「助け主」（ヨハネ14:16）です。この約束の聖霊は、ペンテコステの日に、全ての弟子たちに与えられ、人々は異言の伴う聖霊のバプテスマを受けました。聖霊は、主イエスを証しするお方であり（ヨハネ15:26）、主が語られたことを教え、思い出させてくださいます（ヨハネ14:26）。また、「聖霊は私たちが御国を受け継ぐことの保証です」（エペソ1:14）。聖霊のバプテスマは、求める者には誰にでも与えられる父なる神の約束ですから、主に聖霊を求めてまいりましょう。
まとめ
主なる神は、いつの時代においても、私たちに救いを与えてくださいます。私たちは今、主イエスの十字架による完全な救いを頂いています。また、主は「わたしの霊をあなたのすえに、わたしの祝福をあなたの子孫に注ごう」（イザヤ44:3）と約束してくださいました。この約束は、ペンテコステの日に成就して以来、現在も続いています。聖霊が注がれると、水が人の体に命と潤いを与えるように、主の霊は私たちに霊的な命と力を与えてくださいます。聖霊を頂き、聖霊に満たされ続けてまいりましょう。
