『主への感謝と賛美』
はじめに
本日は、ハンナの祈りから、主に触れていただくことの恵みについて見てまいります。
１．心注ぎ出す祈り
時は士師時代の最後の頃で、「イスラエルには王がなく、めいめいが自分の目に正しいと見えることを行っていた」（士師21:25）時代でした。その様な時代でも、エルカナは毎年シロの宮に上って主を礼拝する信仰深い人でした（Ⅰサムエル1:3）。エルカナには二人の妻があり、一人はハンナ、もう一人はペニンナでした（Ⅰサムエル1:2）。ペニンナはハンナを憎んでいたので、ハンナに子どもがないことを理由にして彼女をひどくいらだたせていました（Ⅰサムエル1:6）。ハンナにとって、毎年シロに上っていく日は子どものいない自分の身の辛さを知る苦しい時でもありました。その苦しみのために、ハンナは人にではなく主に助けを求めて、心を主に注ぎだして祈りました。ハンナの祈る姿を祭司エリが見た時、彼女が酒に酔っているのではないかと見間違うほどでした（Ⅰサムエル1:12-14）。主の御前に祈るハンナに、主が触れてくださいます。ハンナは主が共にいてくださることを知ったので、子どもが与えられるか否かということは大きな問題ではなくなり（Ⅰサムエル1:18）、主が共におられることで勝利を与えられたのです。
私たちは、主に触れていただく時、たとえ状況が以前と変わっていなくても、主が共にいてくださることに目が開かれると、これまで囚われていたものから解放され、勝利を受けて感謝と賛美に満ち溢れるのです。ハンナが自分の苦しい状況にばかり心が囚われていた時は、事態は全く変わりませんでした。しかし、主を見上げて主に問題を明け渡した時、ハンナは主にある勝利を与えられました。握り締めているものを主の前に委ねて手放すなら、主は私たちが考えもしなかった恵みを与えてくださることを覚えましょう。主の前に心を注ぎだし、主に触れていただくまで祈り続けようではありませんか。
２．主は悲しみ嘆きを楽しみ喜びに変えてくださる
主と自分との関係が深くなるほどに、人間関係の確執や問題は些細なこととなります。ハンナは、主に立てた誓願を果たすことに専心しました（Ⅰサムエル1:11）。主に触れられたハンナは、主に感謝し、主を誉めたたえます。「私の心は主を誇り、私の角は主によって高く上がります。」（Ⅰサムエル2:1）。主は無きに等しい者を憐れみ、主の恵みと力強い御手をもって祝福を与えてくださる方です。私たちは、ただ主の恵みによって主を知り、主に礼拝をささげる者とされました。私たちは、主だけを誇ることができるのです（Ⅰコリント1:26-31）。
続けて、ハンナは自分の身に起きた様々な苦しみは、主が介入してくださることによって全く逆転し、思いもよらない喜びと感謝に変えてくださったことを賛美します。人がその強さや豊かさなどを頼みとしても、ついにはそれを失って弱く、貧しくなってしまいます。しかし、主は、弱く、貧しくあっても、主に信頼する者に恵みを与え力を与え、豊かにしてくださいます（Ⅰサムエル2:4-5）。使徒パウロは、自分の弱さを誇ると言いました。それは、「わたしの力は、弱さのうちに完全に現れるからである」（Ⅱコリント12:9）という、主の言葉に信頼していたからです。
ハンナの感謝と賛美の祈りは、彼女自身の個人的な祈りから、主に油注がれた王、すなわち救い主を預言する祈りにまで引き上げられます（Ⅰサムエル2:10）。私たちは今、ハンナをはじめ旧約時代の人々が待ち望んでいた主イエスの十字架の贖いによって、完全な救いをいただいているのです。主に感謝し、主を賛美する者とされていることを感謝しましょう。主に心注ぎだして祈る時、聖霊が私たちの目を開いて、共におられるキリストの現実を覚えさせてくださいます。
まとめ
ハンナは一つの問題を通して、主に心注ぎだして祈りました。彼女は、主に触れられたことによって、事態が変わっていないにも関わらず、勝利を確信し、主を喜びます。その後、まだ見ていない約束の事実を確認することとなります（ヘブル11:1）。悩みの中で私たちが見上げるべきお方は、主なる神です。主は問題を解決してくださるだけではなく、主が共におられるということを確信させてくださいます。主が共にいてくださること以上に、私たちの喜びと平安はありません。主に触れていただくまで、主の前に大胆に出て行こうではありませんか。
