『荒野で我らを導く神』
はじめに
主は、イスラエルの民をエジプトから解放し、荒野の旅を導かれました。本日は、昼は雲の柱、夜は火の柱をもってイスラエルの民を導いてくださった主の御業について共に見てまいります。
１．主に全信頼を置いて信じよ
主は出エジプトの際、イスラエルの民と契約を結ばれました。それは、イスラエルを主の民とし、主がイスラエルの神となられるという（出エジプト6:7）、主からの一方的な恵みと祝福の契約です。しかし、民はモーセが山から降りて来るのに手間取っているのを見て、自分たちで「金の子牛」の偶像を作って拝みました（出エジプト32:1）。それは、民の不信仰のために、主が出エジプトにおいて成してくださった数々の力ある業を忘れ、主ではなく自分たちの考えや方法で安心を得ようとしたからです。
主は民と結んだ契約を必ず成し遂げてくださいます。主はモーセの執り成しによって、民との契約を思い起こしてくださいます（出エジプト32:11-14,30-35）。民が主の契約に生きるために必要なことは、主に全信頼を置いて、主に従うことでした。主に従って生きること、これ以上の幸いで平安な歩みはありません。「あなたの道を主にゆだねよ。主に信頼せよ。主が成し遂げてくださる。」（詩篇37:5）。
現在の私たちは、御子イエス・キリストを信じる信仰によって、罪赦され、神の民となるという契約を与えられています（ローマ10:10）。主イエスを信じる時、神は全ての罪を赦し、神の子となる特権を与えくださいます（ヨハネ1:12）。「彼（主イエス）に信頼する者は、失望させられることがない。」（ローマ10:11）ことを覚えましょう。
２．主の臨在の証し
幕屋を建てた日、あかしの天幕である幕屋を雲がおおい、夕方は火のようなものになりました（民数記9:15-16）。雲や火の柱とは、主の臨在のしるしを表しています。主が共にいてくださるということは、昔も今もこれからも、信じる者にとって究極の幸いです。
救い主の誕生を知らせた御使いも、「その名はインマヌエル(神は私たちとともにおられる)と呼ばれる」（マタイ1:23）と告げ、主の臨在が全ての善きことの中心であり、主イエス御自身もマタイ福音書の最後で「見よ。わたしは、世の終わりまで、いつも、あなたがたとともにいます。」（マタイ28:20）と大切な約束を告げられました。
ペンテコステの日以来（使徒2:3）、主を信じる者にはすべて聖霊が共におられます。聖霊を宿す私たちクリスチャンは「聖霊の宮」（Ⅰコリント6:19）であり「幕屋」、「神の神殿」でもあります。主は私たちを通して、主の御臨在を現してくださることを覚えましょう。
３．主はこの世の旅路を導いてくださる
イスラエルの民は、主の臨在を現す雲の動きに従うことによって、危険な荒野を旅することができました。民は、自分たちの計画や都合ではなく、主の計画と導きに従って歩みました（民数記9:18-23）。今日の私たちの歩みも、主に導かれたイスラエルの民と同じです。日々、主イエスの愛と導きの中、主と共に歩み生かされています。主を中心として、主に従って歩む時、私たちは主の栄光と恵みの豊かさを証しする者とさせていただけるのです。
民は雲と火の柱に導かれてパランの荒野まで来ます（民数記10:12）が、約束の地カナンに行くためには、この地を通らなければなりませんでした。この地で、民は何度か試みられます。主は、信者の信仰を成長させるために、その旅路に試練の道に導かれることがあります（ヘブル12:5-7）。使徒パウロは、先祖たちの荒野での生活は、世の終わりに臨んでいる私たちへの戒めであり教訓であることを教え、私たちが信仰に堅く立って倒れないようにと励まします（Ⅰコリント10章）。信仰生活に於ける試練は、主の御手の中にある訓練であり、私たちに「平安な義の実を結ばせ」（ヘブル12:11）ることを覚えましょう。
まとめ
私たちの信仰生活の歩みにとって大切なことは、イスラエルの民が「主の命令によって宿営し、主の命令によって旅立」（民数記9:23）ったように、主に徹頭徹尾従うことです。そのために、日々聖書を読んで御言葉に聞き、主を見上げて御霊によって歩みましょう。時に、二日、一月、あるいは一年と、主が動いておられないように思える時もあるでしょう。そのような時は、主と共にその時を過ごしましょう（民数記9:22）。それらは決して無駄な時ではありません。時が来たならば、「ただちに」（民数記9:21）主と共に行動しましょう。困難の多い荒野の世にあって、主が私たちを導いてくださることを覚えましょう。主が導いてくださる歩み以上に、平安と幸いはないのです。「あなたこそ、私の主。私の幸いは、あなたのほかにはありません。」（詩篇16:2）
