コーチング・ママ vol.1

“Be gentlemen! Be ladies!” 神召教会牧師夫人(元中学・高校教師) 高橋恵子

いよいよ、夏本番です。「夏休みは、○○に行って、○○して…」と、楽しそうにスケジュールを教えてくれる教会学校の生徒たちの顔を見ていると、すでに彼らの心の中では夏休みがスタートしているようにさえ思います。子どもにとっては、自由な時間がたくさんある夏休みが待ち遠しいのは当然でしょうが、保護者の皆さんにとっては、長い休みをどのように過ごさせるか、悩ましい事もあるのではないでしょうか。中学生くらいになると、部活動や塾の夏期講習などで案外忙しく、実質的な休みは少ないようにも思いますが、いずれにしても、夏の期間をどう過ごすか、ということは家庭にとって大きなテーマであると思います。

小・中学校では、休みの期間を安全に、規則正しく生活するための様々なルールを提示した「夏休みの過ごし方」や「夏休みの心得」などが配布されます。ある学校では、「学習」「生活」「健康」の三つの分野において、およそ三十項目ものルールが出されていました! 家庭の中では、そこまで徹底した決め事作りはしないでしょうが、楽しい中にも心身ともに健康に過ごすために、やはり基本的なルールは必要でしょう。「早寝早起き朝ごはん」「家事のお手伝い」「決まった時間に学習に取り組む」…等々。

「ルール」と聞いて思い出すのは、“Boys, be ambitious! (少年よ、大志を抱け)”の言葉で有名な、W・S・クラーク博士の逸話です。明治初頭、新しく開校される札幌農学校(現北海道大学)の教頭として招かれたクラーク博士は、校則原案を見てこう言ったといいます。「規則は必要だが、数が多すぎる。それでは人間はつくれない。たった一言、“Be gentlemen!(ジェントルマンであれ)”で十分ではないか」。アメリカから持ってきた聖書を一冊ずつ学生に配り、毎朝、授業の前に聖書の言葉を教えたクラーク博士は、神の前に自分の良心と責任に従って考え行動する、自立した一人の人間を育てることを教育方針として「ジェントルマンであれ」という言葉を掲げたのでした。もちろん、すべきこと、すべきでないことについて、子どもたちに具体的なルールを示すことは大切ですが、いつの時代も、教育の根底にある精神というものは、とてもシンプルなものではないかと考えさせられます。

神召キリスト教会の教会学校では、「神様のお手伝い」をテーマとし、今年もサマー・キャンプなどの夏のプログラムを準備しています。特に、キャンプの中では、皆で楽しく安全に過ごすために、守らなければならないマナーやルールを設けます。しかし、キャンプの根底にある目的は、非常にシンプルです̶—-神様に喜ばれることが何であるかを知り、どんなに小さなことであっても、他の人たちのために喜んで何かをすることのできる「お手伝い」の心を育むこと。聖書のみ言葉に心を照らされない限り、自分のことも、他の人のことも、本当の意味で大切にできる「ジェントルマン」や「レディー」は生まれません。教会学校では、今年の夏も、神様が与えて下さった一人一人のかけがえのない子どもたちの成長を助ける「お手伝い」ができればと心から願っています。夏の間も、ぜひ教会学校に子どもたちをお送りくださいますように。また、子どどもと共に、楽しく充実した夏の期間を過ごされますように、ご家庭の上に主イエス・キリストの祝福をお祈りいたします。

カテゴリー: マナマナキッズ |