親の視力
アメリカのケンタッキー州に留学している青年が一時帰国していたため、久し振りに再会することができました。少年時代のイメージとは違って、見上げるほどの身長に成長していました。そして、話の内容も物事を客観的に見ることができる立派な青年になっていました。片田舎の大学生活では、人との触れ合いと大自然を見渡す生活で、視力がよくなったと言っていました。心の視力も合わせ、人間的成長に嬉しくなりました。眼科の学校医から聞いた話ですが、「昔の人が現代人より視力が良かったのは、太陽の灯りの下で暮らし、遠くの自然を見てその日の生活の判断をしていたことが人間の本能に叶っていたのではないでしょうか。現代人は近視眼的になり、細かなものまで見て、生活しなければならないことが多いようです。」と語っていました。「現代人はストレスを背負って生きている」と精神科医が言っていますが、最近、学校、教師と保護者のトラブルの相談を受ける機会が多くなっています。学校は未発達の子ども社会の場で、人間関係の衝突や問題が多くあります。しかし、問題を大きくしているのは、学校の初期対応のまずさと、保護者の近視眼的で、問題の結果だけで判断(感情が伴う)してしまうことがほとんどです。「うちの子現象」と言って自分の子が良ければ・・・と言う態度です。事実関係を調べると、親の感情的判断が問題を大きくしています。「親」という字形の意味(木の上に立って遠くを見る)のようになれないケースが多いです。精神的に余裕のない親は、結果ばかりを求めるため、親の鋳型に合わせたり、肯定的な言葉かけが少なくなったりします。親も子も人と人との関係づくり(コミュニケーション)がギクシャクしてしまいます。
子どもはいろいろな経験を積んでいきます。その多くは失敗の繰り返しで成長します。夏休みを迎えますが、学校を離れて家庭生活が中心となります。ゆったりした生活の中で遠くを見つつ、子どもを見守れる親としての視力を大切にしていただきたいと願っています。