世界戦争はもう始まっている

「平成」と言う元号が終わり、新しく「令和」が始まるということで日本中浮かれているような昨今です。いまどき世界中で元号を使っている国もほとんどないという現状の中でなぜ我が国がそれにこだわるのか分かりません。これから我が国や世界の進む道をどのように考えているのか、私には強い不安すら感じられてならないのです。
私はうかつにも最近まで昨年秋に「IPCC特別報告1.5℃」が発表されていたことに気が付きませんでした。これは温室効果ガス排出が現状のままだと、2030年にも世界平均気温はパリ協定の目標としていた1,5℃を超えてしまうという警告です。このままでは豪雨や干ばつなど異常気象のリスクが高まり、海面も2100年までに0.77メートル上がると指摘したものです。あと10数年しか残されていないのです。これほど切迫した状況にもかかわらず、あまり報道もされているようにも思えません。人々の関心も高まってはいないようです。さらに、このような事態にもかかわらず、国連の協定から離脱を表明しているアメリカなど先進国の足並みは必ずしも整っていません。昨今の世界各地の現象を見ていると、もう一刻の猶予も許されない状況だと思いますが、各国の動きは一体どうなっているのでしょうか。
そのようなことを考えているとき、私は平成が始まる直前の昭和62、3年ごろに見た映画が思い出しました。それがミヒャエル・エンデ原作の「モモ」と言う映画です。めったに映画を見ることのない者にとっては忘れがたい記憶として残っているのです。エンデは20世紀を代表するドイツの児童文学作家ですが、私にはその深い哲学的な思考に惹かれるものがあり、むしろ哲学者ではないかと考えているほどです。その著作の中に「エンデのメモ箱」という警句とも言うべき数々の名言が詰まっている本があるのですが、その中に「第三次世界大戦はもうその真っただ中にいる」と言う言葉があります。そして、それは「領土ではなく、時間の戦争」だというのです。ここで詳細に触れることはできませんが、「モモ」の主題となっていた時間泥棒との戦いが今世界で既に進行中だというのです。
まさに時間との勝負ですが、少なくとも私の目に映る姿は実に緩慢で完全に時間との勝負に負けてしまいそうです。エンデは言います。「わたしたちは、我が子や孫に向かい、来る世代に対して、ようしゃない戦争を引き起こしてしまった。わたしたちは砂漠と化した世界を子孫に残すことになるだろう。」
今、私には「あなたがたは空の模様を見分けることを知りながら、時のしるしを見分けることができないのか」(マタイ16;3)というキリスト・イエスの声が響いてきます。                                     <S・M>

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