終末時計

・前回今年は宗教改革500周年と言う記念すべき年だと申し上げましたが、もう一つ世界歴史上忘れてはならない大切な年であったことを思い出しました。宗教改革がヨーロッパ社会に大変革をもたらしましたが、100年前にはロシア革命が起こり、初めて社会主義体制の国家が樹立されたことは、現代に至る全世界の構図を大きく形作るきっかけになったことを忘れてはならないことです。爾来、アメリカとソビエト連邦が覇を競い合い、資本主義と社会主義の大きな対立構造が出来上がってしまったのは記憶に新しいところです。
・たまたま、この1月にアメリカの「原子力科学者会報」に終末時計が2分30秒になったということが発表されました。昨年よりも30秒短くなったということです。この終末時計は1947年以来毎年この時期に発表されてきましたが、最初7分前だった時計の針はソ連崩壊により17分前まで伸びてきたのに、一向に進まない核廃絶運動がまた時間を縮めてしまったというのです。それだけではありません。チェルノブイリ以来原子力発電所による事故発生やその後始末の困難さも実感しているにもかかわらず、その対策は一向に進んでいません。それどころか、最終的な核のゴミの後始末の方法すら固まっていないのに、福島原発事故後の原発再稼働運動や世界の国への原発輸出を促進するなど、日本は何を考えているのかわからなくなってきています。そしてそれは世界の指導者たちにも通ずることなのです。
・今やバベルの時代の再来だという声も聞こえてきます。世界中が自己主張を続け、自国第一主義を声高に叫んでいて、全体を見る視点を失っている状況下では、まさにその通りかなと思わざるを得ません。私は、我々が宇宙船「地球号」に乗り合わせている仲間同士だという感覚を全く失い、狭いこの地球上での争いを繰り広げている現状を見るにつけ終末時計の針はさらに進んでいくと考えざるを得ません。それは聖書が教える「世の終わり」のことを指し示すものに思えてならないのです。私たち人間には終末を見通す目は備わっておりませんが、着実にその方向に向かっているのは確かだと思います。新約聖書の中にも、キリスト・イエスが「その日、その時は誰も知らない」と仰せられ「自分も知らない。ただ父なる神だけが知っている」と述べておられます。またパウロも「あなたがたの眠りからさめるべき時がすでにきている。夜はふけ日が近づいている。」と言っています。
この厳粛なメッセージに、私たちはしっかりと向き合わなければならない時になっているのではないかと思います。終末時計の針が終わりの時を指さないうちに・・・。                                            (S.M)

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