戦後を終わらせない

・今年は戦後70周年と言う一つの大きな節目の年です。現在の内閣は「戦後レジームからの脱却」を叫びながら、積極的平和主義を唱えています。その積極的という意味は、武力を行使してでも平和を守るという意味で、行き着くところは、憲法第9条の改正という話になりそうです。この一年が戦後70年間保たれてきた我が国の国家体制を再検討する大切な年になるのかもしれません。
・1956年の経済白書で「もはや戦後ではない」と言う記述がなされました。確かにその後の経済成長は目覚しいものがあり、敗戦国日本が一躍世界の大国と肩を並べるまでになりました。しかし、その「もはや戦後ではない」生活は、朝鮮の人々の悲劇、戦後の賠償もきちんとしない東南アジアの人々の貧しいままの生活、さらには、沖縄の人々のさまざまな犠牲の上に乗っていたことは忘れられがちです。
・さらに何よりも忘れてならないのは、この発展は「平和憲法」のお陰だということです。この70年間一度も他国と戦火を交えることなく過ごしてこれたことです。戦争放棄を謳った第9条のお蔭で、我が国はこの70年間戦争に巻き込まれずにこれたのです。昨年「憲法9条をノーベル平和賞を」という運動が世界中の心ある人から認められ、大きなうねりとなったことは周知の事実です。まさにノーベル平和賞に相応しい世界に誇るべき立派な憲法だと言うことを世界中の多くの方々に認識していただけたのではないかと思います。
・現在の内閣が進めようとしている「戦後レジームからの脱却」は、太平洋戦争での我が国の降伏後、GHQの体制下で出来上がった日本国憲法を頂点とした行政システムや外交、安全保障などの基本的枠組みを打ち壊そ72741うとする動きだと言ってもよいでしょう。まさに戦後体制から抜け出したいという願望に他なりません。そしてこのことは独立国家として当然の思いであると言うこともできるでしょう。しかし私は思います。「もはや戦後ではない」という言葉を「まだ戦後を終わらせてはならない」と言う言葉に置き換えたいのです。戦後を終わらせることは、世界に冠たる平和憲法を改正(改悪?)して、戦争ができる普通の国になると言うことです。そのようなことは断じてあってはなりません。
・5月3日は憲法記念日という祝日です。この日に憲法の施行されたということで「憲法記念日」として祝日に定めたのです。私は、この祝日を定める法案を審議した時、参議院の委員長を務めた作家の山本有三氏が「この日は、憲法において、如何なる國もまだやつたことのない戰爭放棄ということを宣言した重大な日でありまして、日本としては、この日は忘れ難い日なので、是非ともこの日は残したい。」と委員会審議の場で述べている記録を教えられ感動しました。この制定の精神は今も変わらず日本国民が等しく担っていかなければならないものだと思います。
・先にも述べたように、この平和憲法の精神を守ることは聖書が言う「平和を作り出す者」の働きです。今こそこの聖書の言葉が世界中の人々に受け入れられ、力に対し力で報いる暴力の連鎖を何としても断ち切らねばならないと思います。    <S.M>

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