平和を作り出すもの

・世界中の耳目を集めていた、いわゆる「イスラム国」の日本人人質事件は皆の期待を裏切る形で結末を迎えてしまいました。残念の極みであります。いやしくも宗教を名乗る人々の取るべき行動ではありません。そして、私はこれが多くの方々に宗教に対する極めて大きな誤解を与えるのではないかと心配しています。特に、イスラム教やキリスト教など一神教についての認識が浅い日本人にとっては、「十字軍」とか「アッラー」などと言う名称が飛び交っているのを見ると、いろいろな面で誤解しやすい事件であったのかもしれません。
・在日ムスリム団体「イスラミックセンター・ジャパン」は1月23日、抗議声明をフェイスブック上に発表し、冒頭、「イスラム国は重大な過ちを犯している」と断じ、「良識的な意見に耳を傾け、人質を即座に且つ無条件で解放するように要求します」と主張しました。
その中で、「日本が、パレスチナとイスラエルが紛争をしている際に、パレスチナに対して支援をする等、多くの場面において、相対的に公正な立場」をとってきたことや「日本にいるイスラム教徒の宗教活動に日本の政府が干渉しないこと」をあげ、何よりも「日本がイスラム国を含めいかなる国に対しても宣戦布告をしない唯一の国」であることを最も重要な理由であると強調しているのです。
・これはまさに憲法9条の精神が彼らから大きな評価を得ているという証拠でもあるのだと思います。今国内では、この事件を契機に自衛隊派遣に向けての検討も議論されるとか、憲法改正の動きも見え始めるとか、世界の我が国への評価とは逆方向に向かう動きが大変気がかりになってきました。力に対して力で対応する虚しさは、人類がたびたび味わってきたことにも関わらず、歴史に学ぶことができない愚かさはまた大きな誤りを犯そうとしているようで甚だ不安でなりません。ノーベル平和賞にノミネートされた「憲法9条」は、今や平和を願う世界中の人々の注目の的なのです。それを自らあえて改正しようとする愚かさは許されるべきではないと思います。
・イエス・キリストが「山上の垂訓」中で「平和をつくり出す人たちは、さいわいである。彼らは神の子と呼ばれるであろう。」と述べられたことはよく知られているところです。また別のところで「あなたの剣をもとの所におさめなさい。剣をとる者はみな、剣で滅びる。」とも言われました。
我が国の憲法9条は、このキリストの精神に最も近いものだと言えるでしょう。今こそ我々日本人は胸を張ってこの平和憲法を掲げて、世界平和のために仲介者としての役割を担っていくべきではないかと思います。(S.M)

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