歴史に学ぼう

・今年も年の瀬が迫ってきました。年のせいか一年がとても早く過ぎていくように感じます。本当にいろいろなことがあったこの一年でしたが、その向かって行く方向が我々にとって極めて厳しい方向に向かっているのではないかという不安を感じさせるような数々の出来事がありました。
・しかし今回の総選挙を見ても、日本人が果たしてどれほど真剣に将来を考えているか分からなくなってきます。やはり目先の安定だけが重要で、もう一歩先を見つめて現在を考えるという視点が欠如しているのではないかと心配になってきます。12月10日には「特別秘密保護法」が施行され、また「いつか来た道」を辿っているのではないかと不安になります。今こそ歴史に学ぶべき大切な時ではないかと思うのです。しかし、残念ながら戦争の経験もなく、かつての独裁体制の恐ろしさへの思いが及ばない世代が大半を占めるようになってしまった現在ではそれへの理解が届かないようになっているようです。まさに「昭和は遠くなりにけり」です。今回の選挙結果に後悔しなければよいのですが、と思います。歴史をきちんと伝承してこなかった結果かも知れません。
・私は、先だってグループで、ドイツ告白教会の「バルメン宣言」を読む機会を得ました。これはあのヒットラーが政権を掌握した後に急速にその正体をむき出しにして行き、世界大戦へと突入し、ホロコーストと呼ばれるユダヤ人大虐殺へと急速に進んで行った時、大多数のドイツ国民やキリスト教会の大半がこれに追随していった際、その流れに心を痛め、事態を黙視できない心ある人々が、これに抵抗する告白教会を形成し、その信仰告白の形でこの宣言がなされたのです。この宣言文の起草者が、20世紀最大の神学者といわれているカール・バルトですが、これはドイツの良心として現代の我々が大いに学ぶべきものだと思うのです。
・私たちはどのような厳しい状況に置かれても、絶対に曲げてはならない、譲ってはならない大切なものがあるはずです。しかし、大方の人々は目先のことに心を奪われてしまい、人間として最も大切な心の問題を後回しにしてしまう傾向があります。選挙の争点でも、未来の子孫に影響するかもしれない原発や環境問題ではなく、経済活性化という目の前の課題が中心になってしまい、結局国の将来を見誤ってしまうことになりかねません。
・これらは、少し歴史をさかのぼれば人類がたびたび繰り返し犯してきた過ちに通ずるものばかりです。まさに“歴史は繰り返す”です。人間は確かに科学文明の飛躍的な発展に大いに寄与してきました。知識は格段に進んできたと言えましょう。しかし、人間の知恵は少しも進歩したとはいえないと思います。同じ過ちをたびたび繰り返す愚かな人間です。まさに歴史に学ぶ必要性が大きいのだと思います。

カテゴリー: 未分類 |