ライフ・イズ・ライフ

・20世紀は戦争の世紀と言われました。第二次大戦だけでも6500万人以上の犠牲者を出している悲惨さですが,20世紀トータルでは1億6千万人という報道もあります。毎年平均160万人が戦争の犠牲者になったということになります。「人の命は地球よりも重い」と言われましたが実は鴻毛のように軽く見られ粗末に扱われたのです。

・英語ではライフ(Life)と言いますが,これはまた生活・人生とも訳される言葉です。人間の命を奪うと言うことは,その人の関わる生活や残された人生を奪うことにもなるのです。多くの人に連なる広がりや残された無限の可能性を踏みにじることになるのです。そこまで思いをいたさない限り本当の意味における人命尊重の概念を理解しているとは言えないと思います。

・聖書には「人は、たとえ全世界を手に入れても、自分の命を失ったら、何の得があろうか。自分の命を買い戻すのに、どんな代価を支払えようか。」と記されています。ここでは全世界の何ものにも代えがたい人命の尊さを教えるとともに、さらに奥深い真理を語っているのです。それは物質の世界を超えた霊的な生命について示唆しているのです。

・21世紀になり,幸い全世界的規模の戦争は起こっておりませんが、地域間の紛争やテロの発生はむしろ激化し、未だに留まることを知りません。主義主張のために,あるいは経済発展のために人命を尊ぶ思いが消えてしまう歴史が繰り返されているのです。自分のこととなると大騒ぎをするにも拘わらず、他人の命を犠牲にして恬として恥じない身勝手さは21世紀になっても残念ながら随所に見られるだけでなく、身近なところにもそのような風潮がまん延してきているように思え空恐ろしい思いを抱きます。

・事故や事件が起きるたびに、命を落とされた人数だけを数えて重大性を云々することがしばしばありますが,尊い人命を数で測ることじたい問題だと思います。一人の命は何ものにも代えがたい尊いものだからです。ましてやその背後にある数多くの方々の人生や失われた時間に思いを馳せるという視点が失われていては、人の命(ライフ)の本当に意味が分からないことになります。

・このたびの原発事故でも,直接人命は失われていないので安全なのだ、と言う発想はまさに論外です。多くの方々の失われた生活や時間についての視点が全く欠けているのです。まさにライフ(生命)・イズ・ライフ(生活・人生)です。一人一人がもつかけがえのない時間や生活を大切にしなければならないと思います。自分自身もそのような心構えで日々を過ごすようでありたいと願っています。

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