心の福祉 <その1>

 ・最近見たテレビの中で音楽家の坂本龍一氏が,大震災の被害に遭った気仙沼の中学校にアメリカのニューオーリンズからブラスバンドの楽器一式が送られてきたのを見ながら、「音楽は心の栄養だ」と言っているのを聞きました。私もこれがどれほど被災地の方々を励ましたかを考えると、彼の発言には私もまさに我が意を得たりという感じです。物質文明が総てに勝って優先され、GDP(国民総生産)と言う物差しが国の豊かさ、ひいては国民の豊かさを示す昨今の状況は非常に危険な状態ではないかと思います。

・折良く昨年秋来日されたブータン国王夫妻は、日本国民に大変素晴らしいメッセージを残して行かれました。GNH(国民総幸福量)という国民の豊かさを測る全く別の物差しを教えてくれたからです。ブータンはGDPでは世界の最低の水準でありながら,国民の総幸福量は世界のトップグループに入っているのです。我が国はその対極にあると言っても良いかもしれません。これほど経済発展している国に住みながら,国民は少しも幸せを感じていないとしたらこんな悲劇はありません。ブータン国王が「欧米はGDPを伸ばすという方向性で国づくりをしている。しかし環境はボロボロになり、人の心はすさみ、文化は継承されなくなっている」として、独自の路線を貫いて来たことに深い敬意を表したいと思います。

私は「人はパンだけで生きるのではない」と言われた聖書の中のイエス・キリストの言葉を改めて思い出します。人間存在が物質だけから成り立っているのではありません。経済優先、物質万能を主張してきた今までの我々の生き方も大きく反省を迫られている時です。その最たるものが現在緊急の課題となっている環境破壊問題です。多少の不自由は忍んでも,未来に残す環境だけは大事に守り継ぎたいものだと思います。

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